アオイカズラ(葵蔓)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)アオイカズラ

・分布 :中国地方(岡山、広島)、朝鮮半島、中国(北東部~北部)
・生育地:山地の林縁の斜面や崖地。
・花期 :8~10月上旬
・草丈(つる状):2~6m 

・名前の由来:葉の形状の観点からアオイ(葵)は京都・賀茂神社の神紋であるフタバアオイ(双葉葵)を起源として、カンアオイ(寒葵)の仲間にも使われている。 アオイカズラはアオイ(葵)に葉が似て、ツル状の蔓であることから、アオイカズラ(葵蔓)となった。

・特徴 :1年草。つる植物で茎は他の物にからまり伸びる。葉は卵心形で長さ5~10cm、幅3~7cm、先が長くとがり縁には透明でごく短い毛がある。葉柄は長さ3~12cmで基部は短い鞘となりその縁に毛がある。 葉腋や茎頂に長い花軸が出て、先に集散花序がつく。花序基部の苞は卵心形で葉質で大きく、花序上方の苞は膜質で線形で小さい。短い集散花序につく花は白色で1日花、萼片3個、花弁3個、萼片は 線状長楕円形、長さ3~4㎜、幅1.3㎜、花弁は糸状、長さ4~5㎜で反曲する。雄しべは6個で花糸に縮れた黄色の毛がある。蒴果は先が嘴状の卵状楕円形で長さ約10㎜。

 全体像 (2018/8/26 広島県 福山市)   

1年草のツル植物で茎は他の物にからまり伸びる。葉柄は長く、葉は卵心形で長さ5~10cm、幅3~7cm、先が長くとがる。

生育環境    (2018/8/26 広島県 福山市)

石灰岩・チャート・粘板岩・輝緑凝灰岩などからなる古生層の岩盤がそそり立つ谷間の標高約200m付近の崖地に生育している。林縁の開けた崖地や林道の法面などにも見られる。

落石防護網の個体    

背景は落石防護網に使われる金網フェンスである。この金網をつたい伸びており、花序に花がみえる。

花序     

葉腋や茎の先に長い花軸がでて、先に集散花序がつく。


ツル植物に絡んだアオイカズラ      

先に伸びたツル植物に3個のアオイカズラのツルが絡まり上方に伸びていおり、途中に2個の花序が見える。

 集散花序    (2018/8/26 広島県 福山市)    

花は1日花の集散花序であり、右端の花は開花中である。早く咲いた他の花は雄しべが枯れ、花柱は残っているが子房がふくらみ結実している。

 葉幅の大きな葉    (2018/8/26 広島県 福山市)    

葉幅の大きな広い葉は、双子葉植物のヤマノイモ科のタチドコロやヤマノイモなどに似ているが、アオイカズラの葉は単子葉植物のため平行脈のみである。

葉幅の小さな葉      

葉幅の大きな葉にくらべ、葉の先は細長くとがり印象がことなる。縁にはごく短い毛があるのがわかる。

花      (2018/8/26 広島県 福山市) 

前画像の花の部分の近接画像。短い集散花序につく花は白色で1日花、萼片3個、花弁3個、萼片は線状長楕円形、長さ3~4㎜、幅1.3㎜、花弁は糸状、長さ4~5㎜で反曲する。

名称  

花序基部の苞は卵心形で葉質で大きく、花序上方の苞は膜質で線形で小さい。雄しべは6個で花糸に縮れた黄色の毛がある。 

 果実    

1日花であり、前日か前々日に咲き終わり、花柱は残っているが子房がふくらみ、結実した果実。子房は3室で、各室に2個の胚珠がある。

群生      

崖地の林縁の緩斜面に群生しているアオイカズラ。アオイカズラのハート形の葉は鮮緑色で瑞々しく美しい。このような群生は稀である。

群生の中の花      

8月下旬であり、まだ成長中なのか、群生の中で花序は多く見られたが、開花している花は少なかった。

上方から見た集散花序      

集散花序であり、開花している花はこの花序の中で最初に咲いた花で、少し細かいが花糸、葯、花柱、萼片、花弁、苞、苞葉の様子がわかる。 開花した花の下にある丸く膨らんだ蕾の中に雄しべがうっすらと透けてみえるのがおもしろい。

地表をはう個体  (2018/8/26 広島県 福山市)     

4個のアオイカズラのツルが地表の落葉の上をホスト(絡まる対象物)を求めて伸びている。このような状態でもすでに、茎頂付近に花序がみられる。

茎の色  (2018/8/26 広島県 福山市)   

落石防護網の金網をつたい伸びているアオイカズラで、初期に伸びた古いツルは茶褐色で太く、そこから分枝したツルは柔らかそうな緑色である。
雑感:生育地域が中国地方の岡山県阿哲台と広島県帝釈峡を主体とする阿哲地域とその周辺に限定されることに驚かされる。阿哲地域は地質的に古生代ペルム紀の石灰岩、チャート、玄武岩質火山岩類などの付加堆積物で構成される秋吉帯とよばれる地体構造区分に、山口県秋吉台、福岡県平尾台、新潟県青海などと共に属するが、アオイカズラは他の地域には見られない。 ツユクサ科でツル植物という珍しい形態だけでも興味深く、また、貴重な大陸系遺存植物であるが、周辺環境に影響を受けやすい1年草であるため、今後とも生きながらえてほしい。