・分布 :四国(愛媛、香川、徳島、高知)
・生育地:山地の湿り気のある林内や林縁。
・花期 :3~4月
・草丈 :10~20cm
・特徴 : 国内に自生するバイモ属で、高山に育つクロユリ以外の7種は花を除く根茎、茎、葉などは共通である。地下の鱗茎は小型で白色の球形になり、2個の半球形の鱗片からなる。
葉は5個あり、葉身は披針形から広線形で、長さ3~6㎝、幅1~2cm程。下部では対生し、上部では3輪生する。茎は細く軟らかく、高さは10~15cmになる。
花は広い釣り鐘形で6個の花被片からなり、葯の色が赤紫色であるのが識別点となる。
・名前の由来:中国に原産のバイモ(貝母)より草姿が小さく(小貝母)、徳島県(阿波)の高越山が最初の発見地であったため阿波小貝母(アワコバイモ)と名付けられた。
標高1000mほどの山頂部にある寺社の社叢内の自然度の高い広葉落葉樹林の林内や登山道の傍らに自生していた。草丈が小さいためか、厚く落ち葉が積もる平地では
少なく、斜面や傾斜地に多い。これは他のコバイモにも共通している。
葉が緑色系の個体であるが、赤紫系に比べて花の形状は同じであるが、花被の色が少し明るく白ぽく見える。
花の内部に3つに分かれた雌しべの花柱や雄しべの赤紫色の葯が見える。花はほとんど下を向いて咲くため、このように横に向きに咲いて、花の内部を
観察できる個体は少なく、より一層、可憐に思える。
内部の網目模様、3つに分かれた白い花柱、赤紫色の葯や花被片の中央にある黄緑色の腺体がわかる。媒介昆虫はヒメハナバチの仲間である。
登山道の傍らの斜面に生育している個体で、6株の開花株と数枚の幼葉が見えるが、とくに赤紫色系の葉と花は周囲の色に溶け込んで、迷彩色になり分かりずらい。迷彩色になったのは、進化の過程で
シカやウサギなどの食害をまぬがれて、淘汰された結果であろうか。
白花の個体はとても珍しく、花の形状は広い釣り鐘形は同じであるが、葯の色は白色であり異なる。赤紫色の個体に比べて、明るく爽やかに感じてとても愛らしい。
葉の色はこの自生地では赤紫系が最も多いが、緑色系との中間色もあり見ていて楽しい。
落ち葉に埋もれているようにみえるが小さな礫岩の傾斜地で、地中深く、10cmほどの所に小さな鱗茎がある。
雑感:コバイモの仲間はスプリングエフェミラルで、それだけでもわくわくするが、この開花した株を見たら、感動しない人はいないだろうと思う。草姿は小さく、草丈に比べて地味であるが大きな花を一輪、内部を見せないように下を向いて咲く様子は
「わび、さび」に通じるものがある。私的には、ホソバナコバイモを見慣れていたところ、広い釣り鐘状の大きな花を見たときは期待以上の満足感があった。毎年、尋ねたい花の1つである。