ダルマエビネ(達磨海老根)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)ダルマエビネ 

・分布 :九州南部、琉球、台湾・中国南部~ヒマラヤ 
・生育地:暖温帯~亜熱帯の常緑広葉樹林帯の沢沿いの林下、少し湿気がある場所。
・花期 :6~7月初旬
・草丈:30~40cm(花茎)

・特徴 :細長い偽鱗茎の1個には2~4枚の葉がつく。葉身は暗緑色で楕円形、裏面には細毛を密生し、葉表は光沢があり長さ15~30cm、幅5~10cm、葉先は急鋭尖頭となる。葉の基部は長さ7~10cmの葉柄に続く。 花茎はかたく短毛が密に生え1~2個の鞘状の葉をつける。緑色の苞は永続性。萼片は長さ約8㎜、白色だが外側に緑色の毛が密にある。側花弁は白色で長さ約6㎜。唇弁は白色、基部に紫色のぼかしがあり、深く3裂し側裂片は細長く、長さ約12㎜、中央裂片は左右に広がり先端が幅広いへら状で長さ約15㎜、2裂する。また、同属のツルランと交雑しやすく、交雑種をオオダルマエビネと名付けられている。
・名前の由来:和名のダルマ(達磨)は唇弁の中裂片の形状がどっしりとしたダルマに似ていることにちなみ、エビネ(海老根)はエビネの仲間であることに由来。 別名のヒロハノカラン(広葉の花蘭)はカラン(花蘭)は同じエビネ属のツルラン(鶴蘭)の別名で広い葉のツルランという意味でよばれる。

生育環境    (2024/6/14 鹿児島県 大隅半島 )

シイ類やタブノキが混じる沢沿いの林下の腐葉土の中に偽鱗茎から根を伸ばして生育している。木漏れ日が差し込む程度の半日蔭の場所でシダ類も見られた。

花序  (2024/6/14 鹿児島県 大隅半島 ) 

前画像と同じ株の花序を接写したものである。花は下方の蕾から順に咲き上がっていくが、2個の花序ともに開花したばかりのようで、最下位の花が少し黄味を帯びている程度で観賞的には最もきれいな時である。


全体像    (2024/6/14 鹿児島県 大隅半島 )

開花したばかりの草丈30cmほどの個体で花茎は伸長するとき障害にあい曲がっている。小さい若葉は黄緑色でまだ光沢はない。

前画像の花の接写画像。黄色の3裂した肉質隆起とその下にある紫色のぼかしがアイシャドーのようでよく目立ち、チャームポイントになっている。 6個の花が咲いているが、密についた蕾の数も多く、これから15個ほど咲きそうである。

花の名称

ダルマエビネの花の特徴はなんといっても名前の由来の唇弁である。白色の3裂した唇弁の側裂片は細長く、逆ハート形の大きくどっしりした中央裂片を引き立たせるように配置されている。

長い葉柄 

この株の葉は葉身が短く卵形に近く葉柄が長い。生育する環境で違いがみられる。

複数の花茎 (2024/6/14 鹿児島県 大隅半島 )  

2個の花序が開花しているが、まだ小さい蕾の花序が2個みられる。

シダ類の中の個体 (2024/6/14 鹿児島県 大隅半島 )  

周辺にはこの時期には他に花が見られず、緑色のシダの中で白い花はよく目立っていた。

春先の個体   (2008/3/20 鹿児島県 大隅半島 )

 沢沿いの倒木の傍らに生育している個体。春先でまだ花茎は見られず、光沢のある葉だけである。ダルマエビネも倒木のギャップをしたたかに利用しているようである。
雑感:九州南部の常緑広葉樹林の中を流れ下る沢を遡っていたとき、光沢のある深緑の葉が半日蔭の林縁で目に留まった。春先で花はなく葉だけであったが、これがダルマエビネとの初見で 光沢のある葉の印象が強く観葉植物としてもよいのではないかとに思った。しかし葉は幅広いが薄く乾燥や直射日光に弱そうにみえた。