フキヤミツバ(吹屋三つ葉)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)フキヤミツバ 

・分布 :本州、九州、朝鮮半島中南部 
・生育地:山地の落葉広葉樹林やアカマツが混じるような二次林の林床
・花期 :4~5月
・草丈:8~20cm

・特徴 :林床に生える小形の多年草。根出葉は細長い柄があり、葉は広く径1.5~4cm、3全裂しさらに2~3裂する。花茎状の茎は高さ8~20cmあり、先端部に葉状の総苞片が対生し、各片は2~3裂する。対生する総苞片の中心部から2~3個の小散形花序を出し、細長い小総苞片を数個つけるが、小散形花序の無柄の花序も混じる。 花は小さく黄緑色、5個ある萼歯片は披針形である。  
・名前の由来:最初に発見された岡山県高梁市吹屋(フキヤ)の地名にちなみ、根出葉の細長い柄の先に、3全裂する広い葉が三つ葉(ミツバ)の由来である。

開花個体と生育環境  (2023/4/19 徳島県 大川原高原)

標高1000mほどの山頂部にある落葉広葉樹で構成される生活環境保全林内にある。草体が小さいためか、他の植物に比べて、早春から成長し始める植物で 高地で寒冷であるにもかかわらず、散形花序の花を咲かしている。

小規模な集団 (2023/4/19 徳島県 大川原高原)

 落葉広葉樹林であり落ち葉がわりあい厚く積もる場所なので、葉を展開するのに苦労しているように見える。生育範囲は狭く林内の樹木が密集している場所には見られず、 遊歩道近くのやや明るい風通しの良い土壌が少し湿った場所を好むようであった。

開花個体 (2023/4/19 徳島県 大川原高原)

 茎の先端に 1 対の葉状の総苞片をつけ、その間に3個の小散形花序をつけるが、咲き始めや小さい個体は通常1個の散形花序を付けるようである。花は小さく淡黄緑色、元気で大きな花では中央部の 1~4 個が雌花でその周辺を取り囲むように雄花が配置されている。

散形花序 (2023/4/19 徳島県 大川原高原)

雄しべの黄白色の葯はよく目立つが、2本の透明なツノ状の雌しべは目立たない。

花の構造(2023/4/19 徳島県 大川原高原)

セリ科の花であり、通常は両性花、稀に単性花、萼、花弁、雄しべは5個である。画像では雄花の花弁は確認できるが、雌花の花弁は落下して見られない。

咲き終わりの個体 (2012/5/5 岡山県 高梁市成羽町)

茎の先端に1対の葉状の総苞片をつけ、その間から2個の無柄の花と1個の柄のある散形花序の咲き終わった花をつけているのがわかる。

花をつけた個体の全体像 (2023/4/19 徳島県 大川原高原)

この場所では幸い、競合する高茎の植物が見られないので、地面にへばりつくように葉を展開して、葉を出す前の落葉樹の樹間を通り抜けた陽光を 浴びている。この面からではスプリングエフェミラルのようである。根出葉は細長い柄があり、葉は広く径2~3cmほどで3全裂し、裂片はさらに2~3裂している。

開花している個体

3個の散形花序の花はいずれも単性花で、右上の花は雄しべだけの雄花で、他の2個の花は雌しべだけの雌花のように見える。

満開の個体 (2012/5/5 岡山県 高梁市成羽町)

 アカマツが混じる二次林の林床の落ち葉に埋もれて生育している個体。
雑感:成羽町の資源植物保存会発行の資源野生植物図説(2004年)は成羽地域とその周辺の希少植物を画像と簡単な説明で紹介した植物入門図鑑であるが、編集責任者の高田眞一先生(故人)にはこの周辺の 植物について同行して丁寧に教えていただいた。とくに、フキヤミツバについてはタイプロカリティであるためか、数か所の自生地を案内していただき保護について熱心な説明を受けたのを覚えている。 徳島と岡山の自生地は共に局所的で、繁殖力は強くなさそうなので絶えずに生きながらえてほしい。また、観賞価値は高いとは言えないが、形態的には興味深い種である。