・分布 :九州北部、対馬、朝鮮半島、中国(東北)、ロシア(沿海州、サハリン)、日本海沿岸地域
・生育地:海岸の断崖や岩場に生育する。
・花期 :11~12月
・草丈(花茎):10~20cm
・名前の由来:ゲンカイ(玄海)は自生分布する地域、イワ(岩)は岩場に生え、レンゲ(蓮華)は葉だけの時期のロゼット状の葉の様子がハスの花の蓮華に似ていることから
ゲンカイイワレンゲ(玄海岩蓮華)となった。
・特徴 :アオノイワレンゲの基準変種。多肉の多年草であるが開花すれば枯死する一稔性植物。ロゼットは径10cmになり、ロゼットの葉は扁平、長楕円形~長楕円状さじ形、長さ1.5~10cm、幅1~3cm、
鈍頭、または円頭、全縁の根出葉をもつ。花茎は高さ10~20cmで、無柄のさじ形~狭倒卵形、長さ約1.5cm、幅1~1.5cmの円頭の葉が密生する。花序は円錐状、葉状の苞がつき、花柄の基部に
細い2個の小苞がある。萼裂片は緑色で5個あり基部で合生する。花弁は白色、5個あり長さ6~8㎜、狭倒披針形で先は円頭~鋭頭。雄しべは2輪で10個あり、葯は赤紫色~黄褐色。
雌しべはほぼ離生し5個で直立する。果実は袋果。
古生代の堆積岩類(砂岩、泥岩、粘板岩)に火成岩の玄武岩が見られるリアス海岸の崖地の日当たりの良い乾燥した岩壁や岩場に生育している。
海面から15mほどの断崖の上部に生育している個体。直下は海面で、日当たりがよく海風もあたるとても乾燥した岩場である。
海岸の断崖の岩場の隙間や凹んだ少し土や砂礫がある場所に生育するが、このような場所は少ないため、適地があれば数株以上がまとまって生育している場合が多い。
ここでは開花した株や蕾の株が10株ほど見られる。
海に面した崖地の上部にはシマカンギクが群生し、より環境の厳しい下部の岩場にはゲンカイイワレンゲが群生し花を咲かしている。なかなか、豪華な景色である。
垂直に近い断崖の岩壁に生育している個体。周辺には乾燥に強いヒトツバや樹木のマサキが見られる。
断崖の急斜面であるため花茎は茎元から湾曲して垂直になって花を咲かせている。右上には海面が見える。
赤褐色の砂岩や粘板岩で構成される堆積岩の岩壁に生育するゲンカイイワレンゲ。周辺にはススキやシマカンギク、樹木のトベラなどがみられる。
崖地の生育する個体で茎元の葉はすでに枯死している。いずれもまだ蕾ではあるが湾曲した長い花茎の他に茎から分枝して7個の花序を伸ばしている。
ゲンカイイワレンゲの大きな株はよく分枝をするが、分枝する位置が茎の基部と茎葉がある中央部に分かれていて、中央部のほうが分枝の数が多い。
崖地の上のゲンカイイワレンゲ。傍らにはツルボ、テリハノイバラと木本のトベラが見られたが、本種は富栄養化でこれらの植物が進出してくると衰退するようである。
多年草であるが開花すれば枯死する一稔性植物。将来花茎を伸ばし花を咲かせる緑色の葉のロゼットが複数、点在している。
前画像の花の近接画像。
萼裂片は緑色で5個あり基部で合生する。花弁は白色、5個あり長さ6~8㎜、狭倒披針形で先は円頭~鋭頭。雄しべは2輪で10個あり、葯は赤紫色~黄褐色。雌しべはほぼ離生し5個で直立する。
ロゼットは径10cmになり、アオノイワレンゲの径1.5~3cmにくらべて大きい。ロゼットの葉は扁平、長楕円形~長楕円状さじ形、長さ1.5~10cm、幅1~3cm、
鈍頭、または円頭、全縁の根出葉をもつ。多肉植物らしい緑色のロゼットで魅力的である。
崖地の個体。花茎は急斜面に生育しているため湾曲し先は垂直方向に伸びている。花は花茎の基部から開花し始め順に上部に咲き上がる。奥にロゼットが1個みえる。
前画像の茎の基部に近い花茎の近接画像。花の中央で赤色を帯びているのが雌しべで、5個がふつうであるが、ここでは4~7個の雌しべをもつ花があり、ばらつきが大きい。
乾燥に強い理由のひとつが葉の表面がクチクラ層とよばれる膜で覆われ水分の蒸発を防いでいるからである。
雑感:日本産の多肉植物はすべてベンケイソウ科に属するが、その中でももっとも多肉植物らしいのがゲンカイイワレンゲである。海岸の日当たりの良い乾燥した崖地の岩場で円錐状の花茎を伸ばして
咲く様子もよいが、花茎を上げる前の葉を密生したロゼットも厳しい環境にもめげずに瑞々しさがあり魅力的である。また、断崖に群生し、円錐状の花茎に白い花をたくさん咲かせている様には驚かされる。