ゲンカイツツジ(玄海躑躅)

 
 
   

都道府県別レッドデータ(2022) ゲンカイツツジ 

・分布 :本州(鳥取、岡山以西)、四国(愛媛)、九州北部、朝鮮半島
・生育地:花崗岩や凝灰岩からなる低山の日当たりの良い尾根筋や岩地。
・花期 :3~4月
・樹高 :1~2m

・特徴 : 落葉低木で、枝分かれの多い株立ちである。葉は数枚が枝先に互生する。葉身は披針形から楕円形で両面に腺状鱗片と白毛が密生する。花は葉の展開前に開花する。 花冠は淡紅紫色、漏斗状で直径3~4cm、先は5裂する。雄しべは10個で、果実は1.5cmほどの円柱状の蒴果である。

・名前の由来:対馬と北部九州、山口県の間にある玄界灘に面した地域に多く自生するのに由来する。

自生地で開花中の個体  (2021/3/20 広島県 竹原市)

瀬戸内海から近い低山の海抜200mほどの日当たりの良い尾根筋に生育している個体。尾根筋の登山道に沿って群生している場所もあり、個体数も多い。

 

紅紫色の濃い個体 (2021/3/27 広島県 竹原市)

海抜150mほどの低山の尾根部に咲いていた赤紫色の濃い個体である。早春であり、付近にはまだ開花していないミツバツツジなど多いがゲンカイツツジだけ開花しているため、よく目立ち美しい。

2輪の桃色の花 ((2021/3/20 広島県 竹原市)

 内部の網目模様、3つに分かれた白い花柱、赤紫色の葯や花被片の中央にある黄緑色の腺体がわかる。媒介昆虫はヒメハナバチの仲間である。

花の拡大画像 (2021/3/20 広島県 竹原市)

 淡紅紫色の花の拡大画像で、5枚の花弁(合弁花)、ツツジ科の特徴である雄しべの180度曲がって穴が開き花粉が見える葯、少し薄いがヒョウ柄のネクターガイドとその花弁から出ているように 見える他の9本の雄しべの花糸に比べ細い花糸がわかる。雌しべの柱頭や雄しべの葯の方向が花の中央からネクターガイドの花弁方向を向き、花粉を媒介する虫を意識しているように見えておもしろい。

花の付き方 ((2021/3/20 広島県 竹原市)

 濃紅紫色の花であるが、ゲンカイツツジは葉を展開する前に、枝先に複数個がまとまって咲く。

白花の個体の全体像 (2021/3/20 広島県 竹原市)

 この低山の尾根道の傍らに自生している個体数は100株を超すほどであるが、白花の個体は2株だけで、他はすべて紅紫色の株である。この白花の2株はそれぞれ遠く離れて単独で自生している。

白花の拡大画像 (2021/3/20 広島県 竹原市)

 白色の花は紅紫色の花と比較して、形状は同じであるが、雌しべ、花糸や葯の色が白っぽく異なる。花は透明感のある瑞々しい白色でとてもきれいである。

新緑の頃の葉を展開した個体 (2021/5/4 広島県 竹原市)

 落葉低木で葉が枝先にまとまって付いているのがわかる。根元まで日光が届くような明るい場所を好む。

初秋の枝先 (2020/10/19 広島県 竹原市)

 葉が濃緑になり、来春に咲く蕾もみられる。冬を迎えると落葉して、枝先には蕾が残る。

海抜0m地帯の個体 (2021/3/20 広島県 竹原市)

普通は低山の尾根筋などに見られるが、この付近では10株ほどが海抜0mの湿地の周りで見られる。植栽するような場所ではないので、細々と生きてきた自生株だと思われる。  
雑感:ゲンカイツツジは広島県の沿岸部にある当地では、最も早く咲くツツジで、同じく谷筋に咲くコウヤミズキととも初春を告げる樹木として毎年楽しみにしている。低木で 陽光を好むためか、周囲の樹木やシダが繁茂すると衰退し枯れるので、どうしても他の植物が育ちにくい岩場などに多く見られるようである。