・分布 :本州(千葉、福井以西)四国、九州、世界の熱帯・暖帯の海岸や内陸地の乾燥地
・生育地:日本国内では海岸の日当たりの良い砂浜。
・花期 :7~10月
・草丈 :20~100cm
・特徴 :海岸の砂浜に生える1年草または越年草。茎は匍匐して長さ1mに達し基部で分枝し、さらに枝も分枝する。
葉は4~8対の偶数羽状複葉で普通対生するが互生も混じるときがある。夏に葉腋に径葯1cmの黄色の花をつける。花柄は長さ1~2cm、
萼片、花弁はともに5個である。蒴果は径約1cm、熟して5片に分かれ、果皮は木質で表面に太い棘と多数の刺上の毛がある。
・名前の由来:棘のある果実といえば水草のヒシ(菱)の果実であり、これを連想させて、さらに海岸の砂浜に生育することからハマビシ(浜菱)とつけられた。
この個体は茎の基部で十字形に4つに分枝して匍匐し伸長している。分枝の長さは20cmほどで花は見られないが果実をつけている。
茎の基部で分枝し匍匐して多方面に枝を伸ばしている個体が2個ある。最長の枝の長さは約1mにも達する。周辺には黄色い花のコマツヨイグサやオニシバが生育している。
日当たりがよく風の強い砂浜に生育する個体は砂地を這うように匍匐する。分枝は茎の基部に多く見られ、葉も乾燥のためかネムノキの葉のように閉じているように見える。
この生育地は海に近い日当たりの良い砂地の裸地であるが、強風が吹く場所でないためか、茎が立ち上がっている。葉腋に径1cmほどの黄色い花を1個づつ時間をおいて咲かせる。
花弁は黄色で5個、雄しべは10個で葯に黄色い花粉がみられる。雌しべは子房に白毛があり、柱頭は黄色で5分割している。花弁は透明感のある黄色で上品である。
葉は4~7対の偶数羽状複葉で対生し、葉軸は長さ3~6cm。花柄は1~2cmで有毛である。
1個の果実の拡大画像で、直径約1cmで名前の由来の果皮の刺や果柄・枝・葉の白色の粗い毛と短毛のようすがわかる。
果実は熟して蒴果となり5片に分かれて拡散する。果皮の太い棘は1片に2個付き全部で10個ある。
匍匐する枝を持ち上げて、下方から見た画像で、果実の刺や葉裏の短毛などがわかる。
新枝の結実したばかりの若い果実で白色の粗い毛と短毛がわかる。まだ、木質化していない新枝なので若葉の淡緑色と共に新鮮である。
亀裂が入った蒴果で5個に分かれて落下して種子を散布する。風での拡散もあるが、果皮の刺の役割は拡散に役立っているのだろうか。
ハマゴウやコマツヨイグサなどの海浜植物がある砂浜の自生地。本来の生育環境はこのような場所であろうと思われる。
雑感:初めて自生地を訪ねたときは夏の終わりの夕刻ちかい時間で、誰もいない静かな広々とした海岸の砂浜に1人立ち、こんな場所にあるのか不安になったのを覚えている。
しかし、それは杞憂で、海浜植物が生えている場所に移動してすぐに、大きく匍匐して広がった本種に出会い喜んだ。棘がある果実は海水浴などで裸足で歩くときには
刺さりそうで、厄介者扱いも頷け、種名もドンピシャだと感心した。越年草であり、自然条件の厳しい砂浜で自力で子孫を残しているのはすばらしい。