ハマタマボウキ(浜玉箒)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2022)ハマタマボウキ 

・分布 :本州(山口)、九州(福岡、佐賀、長崎、熊本) 
・生育地:玄界灘に面した北部九州の明るい砂浜。
・花期 :4~6月
・草丈 :40~100cm

・特徴 :地下に単子葉類の特徴である発達したひげ根状の根茎を持つ多年生植物。食用にされるアスパラガスの仲間であるが、浜辺では茎は複数本、地を這うように放射状に伸びて広がる。また、浜辺の際に生育している個体は他の植物に 寄りかかり立ち上がる。茎や枝にある細い線状の葉は、葉状枝といい茎が変形したものであり、キジカクシ科の特徴である。雌雄異株で花は長さ5㎜、花柄の中ほどに関節がある。
・名前の由来:タマボウキ(玉箒)は古代、正月の子の日に蚕室を掃くのに使った玉の飾りを付けたほうきに似ていることからで、ハマ(浜)はタマボウキの仲間で砂浜に生えてることに由来。

砂浜に広がり生育する個体  (2023/05/10 佐賀県唐津市)

海岸の砂浜に放射状に広がった株。日頃から風の強い所であるためか、他の植物も丈が短い。鮮やかな緑色で砂地に広がる様は踏みつけるのがもったいないほどである。 黄色で、紫褐色の薄い筋も見える。下からの画像は黄色が引き立ち落ち着いた華やかさがある。

 

開花している個体(雄株) (2023/05/10 佐賀県唐津市)

枝に多数ついた雄花。また、茎に多数ついている触れれば痛いような線状の葉は、茎が変化した葉状枝である。

雄花の拡大画像 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

 花被片は以前ユリ科にも分類されたように単子葉植物で、花被片も3の倍数で雄ずいも6個である。雄花を付ける雄株のほうが花の数が多く、株全体が賑やかである。また、雄花のほうが少し雌花より大きい。

雌花の拡大画像 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

 雄花は開花すると花粉の黄色も見えて、明るい感じがするが、雌花は少し花も小さく地味である。子房上位で3室に分かれ柱頭は3本である。

花柄の関節 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

雄花も雌花も花柄があり、柄の途中に関節があるのもハマタマボウキの特徴である。

果実 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

雌株の茎にみのった多数の球形の果実。熟すと赤くなる液果である。

果実と雌花 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

雌花と果実が同じ個体に見られる。小さい雌花と大きい果実の対比がもおもしろい。子房上位であることから花柄と果実の付け根に萼が残っているのがわかる。

砂浜に広がる大株 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

強風地帯で乾燥しやすく、保水力のない塩分を含んだ砂浜に深くひげ根をおろし、茎枝を大きく展開している個体。このような 他の植物が育ちにくい所に特化している植物ともいえる。

生育環境 (2023/05/10 佐賀県唐津市)

 海浜植物のカワラヨモギやコマツヨイグサなどと共存しているハマタマボウキ。すぐ向こうは海で、この日は珍しく風の穏やかな日であったが、前日は沖でウインドサーフィンを楽しむ人が いるほど波風が強いところである。
雑感:タマボウキを以前観察して、そのときハマタマボウキの存在を知り、出会いたかった植物であったが、まるでタマボウキの名前が付きながらその草姿の違いに驚いた。 強風の砂浜に広がって生育する個体と防風林縁にあるクサスギカズラのようにツル状に伸びる個体もあり、環境による草姿の影響もおもしろく思われた。また、受粉については 砂浜の個体については雄花も小さく、個数も多いことから風媒花の可能性が高いようにみえた。