・分布 :九州、台湾、中国、朝鮮半島、モンゴル
・生育地:低山地や海岸丘陵の日当たりのよい草地。
・花期 :10~11月
・草丈:50~150cm
・名前の由来:ヒゴタイ(平江帯)は貝原益軒の「大和本草」江戸時代(1709年)に「ひんこうたい(平行帯)、花るり色なり、葉はおみなえしに似たり」の記載があることに由来。
ヒナ(雛)は小形で愛らしい意味を持つ接頭語で、よく似た植物のヒメヒゴタイ(姫平江帯)を参考にしてヒナヒゴタイ(雛平江帯)と命名された。ただし、ヒゴタイと本種は属が異なり、花や草姿はあまり似ていない。
・特徴 :草原に生える高茎草本の二年草。根は紡錘形(ゴボウ状)で垂直に伸びる。茎は直立し10本ほどの稜がある。下方の葉は長さ15cmほどの長楕円形で羽状に中裂し側裂片が5個ほどある。上方の葉ほど小さく裂片も少なくなくなり上部の葉は全縁となる。茎、葉、花柄など草体全体にまるい腺と毛状突起が密生している。花茎は分枝して頭花は散房状あるいは円錐状に密集してつき径12~16㎜。総苞は円筒形で長さ10~13㎜、径5~10㎜、クモ毛があり
基部に狭卵形の苞葉が1列ある。総苞片の上端には紅紫色の膜質の付属体があり瓦状に重なっている。ヒメヒゴタイの付属体はヒナヒゴタイより大きく開出する。
典型的なヒナヒゴタイの開花した株。散房状あるいは円錐状に密集している紅紫色の頭花と蕾が秋の終わりによく似合う。
海の近くの標高約350mほどの安山岩類の大規模火砕流でできた低山の昔は放牧地として利用されていた標高200mほどの日当たりのよい草地に生育している。現在は希少植物の多い場所でもあり自然環境保護のため毎年、野焼きをおこない、ススキ‐メカルガヤ群集の草地に分類され、ヒナヒゴタイはこの高茎植物に混じって生育している。
前画像の茎の上部。茎は10本ほどの紫褐色の稜があがあるのがわかる。蕾や頭花の総苞片の付属体の紅紫色は目立たない。
開花したばかりの頭花と蕾の組み合わせが絶妙である。
草丈約60cmほどの小さな個体。茎上部の切れ込みのない全縁の葉がよくわかる。一つの円錐状の頭花の集団に魅せられる。
密集した頭花の近接画像。小花はすべて筒状花(両性花)で雄しべや雌しべを包む筒部の白色~紅紫色の花冠はふつう5裂し、咲き始めは紫色の円筒状の雄しべの中に
雌しべは収まっているが雄しべが葯から花粉を出したに後に白色の花柱がが伸びて(筒状の雄しべが縮む)先は2岐する。開花すると紫色の筒状の雄しべがよく目立っている。
また、紅紫色の総苞片の付属体はヒメヒゴタイと異なり開出せずあまり目立たない。
よく似たヒメヒゴタイの頭花の近接画像。1個だけ開花した頭花があるが、咲き始めで筒状の雄しべの先に葯からの白い花粉が見え、まだ雌しべは筒状の雄しべの中で見えない。
前画像のヒナヒゴタイの画像と比べると総苞片の紅紫色の付属体が開出して、蕾や花がとても艶やかに見え、ヒナヒゴタイと大きな違いである。
二年草であるため、根生葉で越年する。長楕円形で羽状に中裂する根生葉は花時には生存しない。
平戸島の標高約150mほどの丘陵の草地に生育している個体。
咲き始めの頭花の色は淡い紅紫色であるが、受粉が終わる時期では紅色が濃くなっている。
雑感:本家のヒゴタイ属のヒゴタイはルリタマアザミともよばれるように小花の集まった瑠璃色の大きな球状の頭花はよく目立つが、トウヒレン属のヒナヒゴタイとは色や形状も大きく異なり、ヒゴタイの名称を
使ったことで紛らわしくなっている。よく似ている同属のヒメヒゴタイの頭花は蕾のときに総苞片の紅紫色の付属体が大きく、さらに開出するため華やかで開花状態より美しく感じるほどであるが、ヒナヒゴタイでは付属体は小さくてほとんど開出しないため蕾はあまり目立たず開花状態の頭花のほうがきれいである。