イワレンゲ(岩蓮華)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)イワレンゲ

・分布 :本州(関東以西)、九州 
・生育地:海岸の断崖や岩場の他に石垣や屋根上に生育する。
・花期 :10~12月
・草丈(花茎):10~20cm 

・名前の由来:イワ(岩)は岩場に生え、レンゲ(蓮華)は葉だけの時期のロゼット状の葉の様子がハスの花の蓮華に似ていることからイワレンゲ(岩蓮華)となった。

・特徴 :多肉の多年草であるが開花すれば枯死する一稔性植物。ロゼットは径10cmになり、ロゼットの葉は扁平、倒披針形、長さ4~6cm、幅2~2.5cm、 鈍頭、または円頭、全縁の根出葉をもつ。花茎は高さ10~20cmで、無柄のさじ形~狭倒卵形、長さ約1.5cm、幅1~1.5cmの円頭の葉が密生する。花序は円錐状、葉状の苞がつき、花柄の基部に 細い2個の小苞がある。萼裂片は狭卵形で5個あり基部で合生する。花弁は白色、5個あり長さ6~8㎜、狭倒披針形で先は円頭。雄しべは2輪で10個あり、葯は黄色で紅色にはならない。 雌しべはほぼ離生し5個で直立する。果実は袋果。

生育環境     (2025/11/22 山口県 下関市)

中生代の花崗岩の海食崖の日当たりの良い乾燥した岩壁や礫地に生育している。この場所は海食崖であり、満潮時や風の強い日は風浪やうねりのため近づけないほどである。 ロゼットは径10cmになり、ロゼットの葉は扁平、倒披針形、長さ4~6cm、幅2~2.5cm、鈍頭、または円頭、全縁の根出葉をもつ。

断崖上の礫地の個体    (2025/11/22 山口県 下関市)

断崖の岩が剥がれて落ちた礫地に生育している個体。海面から約10mほどで、日当たりがよく海風もあたるとても乾燥した岩場である。 後景にダルマギクが見られるが、ダルマギクもこのような厳しい環境に適応しており、イワレンゲの強力な競合相手でもある。

岩上の小さな集団     (2025/11/22 山口県 下関市)

海岸の断崖の岩場の隙間や凹んだ少し土や砂礫がある場所に生育するが、このような場所は少ないため、適地があれば数株以上がまとまって生育している場合が多い。 ここでは開花した株や蕾の株が5株ほど見られる。多肉植物であり、ふつうの植物と草姿が異なり、幾何学的な美しさがある。


周辺環境       (2025/11/22 山口県 下関市)

     

崖地の個体数の密度が高い部分を少し離れて見た画像。乾燥に強いテリハノイバラの蔓と12個ほどのイワレンゲが点在している。明るい黄赤色の岩は花崗岩である。


 蕾の株とロゼット    

断崖の岩棚のテリハノイバラの根元に生育している個体。一株が茎元から分枝して2個の蕾の花茎を伸ばし、2個のロゼットは礫の中に根を下ろしている。

 満開の株    

テリハノイバラの蔓の間隙の礫に根を下ろして花を咲かせている株。この株は一株で茎の下部で3個に分枝し、中央と左方の枝は花茎を伸ばし満開であるが、右方の枝は途中で枯死している。 乾燥が強いためか、茎元の葉は水分や養分を花や花茎に送り、自身は萎れ枯れている。

 帯粉している葉    

直径約10cmのロゼットの近接画像。葉の表面は粉白を帯びているが、粉白がはがれた葉の表面は模様が入り、帯粉していることがわかる。

3個のロゼット  (2025/11/22 山口県 下関市)  

この崖地の生育環境は厳しいためか、群生している様子はなくロゼットも最大3個の個体が集まっているのがせいぜいである。

礫の中のロゼット      

礫の岩間に根を下ろした個体。乾燥した貧栄養の岩間で生育できる強健種である。

花茎  (2025/11/22 山口県 下関市)

満開の花茎の近接画像。赤い実はテリハノイバラの果実である。多年草であるが開花すれば枯死する一稔性植物。

花   

花の近接画像。雄しべの葯は黄色で紅色にはならない。 

花の名称   

萼裂片は緑白色で5個あり基部で合生する。花弁は白色、5個あり長さ6~8㎜、狭倒披針形で先は円頭。雄しべは2輪で10個あり、葯は黄色。雌しべはほぼ離生し5個で直立する。 

花崗岩とイワレンゲ      

この崖地の岩石は明るい黄赤色の花崗岩で、その岩上に生育する白緑色の葉に白色の花を咲かせたイワレンゲの取り合わせがとてもユニークである。

生存競争  (2025/11/22 山口県 下関市)  

礫の中に根を下ろしテリハノイバラの蔓の隙間から花茎を伸ばした個体。上部の枯れた茎はハマナデシコである。
雑感:イワレンゲは古くから注目され栽培されていたようで、内陸部の石垣や屋根などに逸出した株が時を経て自生状態になっている。本来は 海岸部の乾燥した明るい崖地に自生するもので、実際に人の容易に近づけない岩場で出会ったときにはその厳しい環境に驚いた。不思議なことに50㎞ほど離れてた 同じような海岸の崖地にはゲンカイイワレンゲがあり、棲み分けに至った長い過去を考えるのは楽しい。