・分布 :本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球、中国、マレーシア、インド、アフガニスタン
・生育地:海岸部の日当たりの良い崖地に多いが、山地の崖地にも生える。
・花期 :3~10月
・草丈(花茎):20~50cm
・名前の由来:伊豆(イズ)地方で多く見られ、ハハコグサ(母子草)似た草であることからきている。また、別名ワタナ(綿菜)は冠毛が綿毛に似ていることに由来。
・特徴 :1年草~越年草。全体に白色の軟毛が多い。葉は下部にロゼット状に集まり、長楕円形で長さ5~13cm、幅1.2~4cm、鈍鋸歯があり葉先は円頭、葉柄には翼がある。
中部の葉は倒披針状長楕円形で基部は茎を抱く。頭花は茎先に密集してつき、円柱形、径約8㎜、総苞は鐘形、長さ5.5㎜、総苞片は3~4列、緑色で縁は膜質。
頭花はすべて細い筒状で、中心部に多数の両性花、周辺には多数の雌花がある。痩果は扁平、長さ1㎜でまばらに毛がある。冠毛は長さ4.5㎜、汚白色または赤花色を帯び
密にある。
内陸部の人里近くの標高約250mの火砕流堆積物からなる崖地の明るい南面の下部に生育している。また、付近の石垣にも点在しているが、生育範囲は狭い。
石垣の隙間に生えた個体。葉は下部にロゼット状に集まり、長楕円形で長さ5~13cm、幅1.2~4cm、鈍鋸歯があり葉先は円頭、葉柄には翼がある。中部の葉は倒披針状長楕円形で基部は茎を抱く。
前画像の茎の上部の近接画像。茎や葉に白色の短い軟毛が密に生えて、茎頂は頭状花序となる。
石垣の隙間に根を下ろし茎を伸ばし頭花をつけている。傍らにウツギやカラムシも見られる。
石垣のわずかな隙間に根を下ろし花茎を伸ばし、茎頂に蕾の多い頭花をつけている。まだ、成長途中のようで、全体が若々しい。
茎頂の頭状花序(頭花)の近接画像。多数の小花で構成される。どこにでもよく見られるハハコグサの頭花とよく似ている。
頭花は小花で構成され、小花は中央付近に両性花、周辺は雌花の筒状花であり、舌状花はない。キク科は雄性先熟であり、上部にある小花の中央の両性花の葯から黄色の花粉が押し出されている。
総苞は鐘形~半球形、総苞片は3~4列、緑色で縁はやや膜質である。
雄性期が終わり、両性花の中央から柱頭が出ている。この時期は頭花全体が汚白色になり目立たない。
石垣の隙間に根を下ろし、茎を伸ばし茎頂に花期から結実期に入った頭花をつけた2個の個体。
痩果は扁平、長さ1㎜でまばらに毛がある。冠毛は長さ4.5㎜、汚白色または赤褐色を帯び密で綿のようである。
この個体の茎頂は頭状花序とはいえないほど小花が離散しており、小花も未熟なものから、成熟し冠毛が出て結実しているものまでバラバラのようである。
まだ頭状花序を茎頂につける前の成長過程の若い個体。根元のロゼット状の根生葉はあまり大きくない。
石垣の隙間から茎を伸ばし、茎頂に小さく未熟な頭花の蕾をつけた個体。イズハハコは花期が長いようで、この8月の成熟し冠毛で痩果を飛ばしている個体もあるが、
この個体のように成長過程のものもある。
イズハハコは茎元にロゼット状の葉をもつが、この個体はそれが顕著で、中上部の茎葉は小さい。
雑感:被子植物の中で最も種の数が多いのがキク科植物であり、キク科に含まれる属の間でも似たような形態をもつ種が多い。頭花の形態だけ見れば、イズハハコもハハコグサもよく似ているが
ハハコグサ連ハハコグサ属とシオン連イズハハコ属と属が異なっている。イズハハコは崖地の壁面や石垣の隙間などに特化した植物で花も地味な汚白色であるが、道端や畑などで見られる黄色の花のハハコグサにくらべて
それなりの孤高感がある。