・分布 :宮崎(固有種)
・生育地:やや湿気のある明るい林縁や林床
・花期 :9~11月
・草丈(花茎):10~30cm
・名前の由来:ホトトギス(杜鵑草)は花被片の斑点を鳥類のホトトギスの胸の斑点に見立てたことによる。そこでホトトギス(杜鵑草)の仲間で、花が黄色であることからキバナノホトトギス(黄花の杜鵑草)となった。
・特徴 : 多年草。茎は立ちかたい毛が散生する。葉は長楕円状披針形、長さ8~20cm、幅2.5~4cm、緑色~濃緑色で黒緑色の斑紋が入る。黄色の花を葉腋に1~2個つける。花は上を向いて咲き、花柄は長さ2~6cmで花より
はるかに長く毛が密生する。雄しべは6個、葯は外向きで褐色である。花柱は3枝に分かれ、各枝はさらに2裂し平開する。花被片は6個あり、内外片ともにほとんど同形で、長さ約2.5cm、黄色の地に赤紫色の斑点がある。外花被片の基部に距がある。
南から北に流れ下る加江田川が砂岩・礫岩・泥岩を浸食してできた急峻な崖地をともなう標高50mほどの渓谷内に生育する。シイ、タブ、カシ類の常緑広葉樹林で構成されるこの渓谷は、川沿いに遊歩道が整備されており、
キバナノホトトギスはこの遊歩道の傍らの明るい開けた場所の崖地や林縁に自生している。
草丈(花茎)約20cmの3株。コケのにおおわれた崖地に根茎を下ろし、開花したばかりの花をつけている。虫による食害で傷んだ葉をつけている個体が多いが、この個体は
比較的に葉も茎もきれいで、コケの緑と調和して美しい。
キバナノホトトギスは雄性先熟の開花期間は2日である。時期的には咲き始めに当たり、4個は開花中で、最上位の花は咲き終わり花被を閉じている。
路傍の岩場に点在している個体。南北に展開する深い渓谷内であるため、明るい場所であっても日が差し込む時間は短い。キバナノホトトギスは明るい場所を好むようで、草丈も高くないため
高茎植物の育たない岩場の斜面によく見られる。後方の暗い場所にはイワタバコが見える。
やや暗い支流の沢の岸辺の岩上のコケの中に根茎を下ろした個体。増水すれば水没するくらいの低い場所にある。キバナノホトトギスも条件があえば、繁殖力はたくましいようである。
林床の腐葉土の中に根茎を下ろした個体。傍らにヘラシダやフユイチゴが見られる。この個体は茎の下部から上部まで葉や花がそろっており、葉腋につく花の様子がわかりやすい。
花は茎頂から咲き下り、茎頂の2個の花はすでに結実している。
キバナノホトトギスの特徴の1つが長さ2~6cmもある長い花柄である。
花の斜め正面からの近接画像。内花被片3枚と外花被片3枚ともに同形で均整がとれて美しい。花被片の内側基部の橙色の蜜標や先端部の赤紫色の斑点も絶妙である。
花柱は3裂し、裂片はさらに2裂し先が柱頭になる。雄しべは6個、葯は外向きである。
花の側面の近接画像。花柄には毛が密生している。
外花被片は3個あるが、その基部に距があり訪花昆虫を誘う蜜をためている。内花被片には距はないが外花被片と同じ蜜標はある。
茎は茶褐色で細く、葉は緑色~濃緑色で黒緑色の斑紋が入る。
遊歩道の林縁の法面に生育している個体。シダ類やフユイチゴが傍らにある明るい湿った場所である。将来、周辺の植物が大きくなり埋没する恐れがある。
雑感:黄色の大きな花を咲かせ、濃緑の披針形の葉をもつチャボホトトギスはキバナノホトトギスとよく似ており、葉だけの時期には見分けつかないほどである。しかし、両者の分布域は重なることなく
宮崎県だけのキバナノホトトギスに対してチャボホトトギスは紀伊半島や四国である。不思議なのは生育場所や草姿がよく似ているにもかかわらず、開花期間がキバナノホトトギスが雄性先熟の2日間、チャボホトトギスは雌雄同熟の1日だけということである。