キバナシオガマ(黄花塩竈)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020) キバナシオガマ 

・分布 :北海道(大雪山) 
・生育地:高山の風衝地の湿った礫地や草地。
・花期 :7~8月
・草丈:10~20cm(花茎)

・名前の由来 :塩竈(シオガマ)は浜辺にある製塩するのに使われた竈で、そのたたずまいが浜辺に美しく風情を与えることから「浜で(ハマデ)目につき美しい」を シオガマギクの草姿が「(花だけでなく)葉まで(ハマデ)目につき美しい」とかけたことによる。キバナ(黄花)はシオガマギクの仲間で花が黄色であることから。
・特徴:条件的半寄生植物の多年草。茎は根ぎわで分枝して株になる。葉は根ぎわに集まり茎葉は互生する。葉柄は長さ2.5~4.5cm、葉身は長楕円状披針形で長さ2~5cm、幅0.5~1.5cm、羽状に全裂し 裂片は長楕円状卵形で重鋸歯がある。茎先に総状花序で密に花をつける。苞は下部のものは葉状、上部のものは小さくなり長楕円形で先に鋸歯がある。萼は円筒形、長さ8~10㎜、幅2.5~3㎜ 、先には5個の細い裂片がある。花冠は唇形、黄色で、上唇は舟形、湾曲し先は鈍く、上唇の上半分は赤褐色。下唇は3裂して広く開く。蒴果。

多数の花をつけた個体    (2024/7/18 北海道 大雪山 )

風衝地ではあるが、比較的風が緩やかな場所で生育する個体で周辺にはキバナシャクナゲやガンコウランも見られる。花茎も含めた草丈も高く約20cmほどあり多数の花をつけている。

生育環境   (2025/7/2 北海道 大雪山 )

北海道の大雪山の標高約2000mほどの尾根筋の強風の吹く風衝地の湿った砂礫地に生育する個体でイワウメの中に根茎を下ろしている。強風が吹き抜ける風衝地であるため 草丈が小さくこの個体も約10cmぐらいである。


穏やか風衝地の個体  (2024/7/18 北海道 大雪山 )

この個体もガンコウランの群生の中に根茎を下ろしている。日当たりがよく風もあまり強くない場所のため葉が立ってのびのびと展開し、花は暖かい場所のため開花が早く、すでに満開期を過ぎている。

小礫中の個体    (2025/7/2 北海道 大雪山 )   

直径1cmほどの大きさの小礫に根茎を下ろした大株。前方にあるのはエゾオヤマノエンドウで、強風の吹く風衝地であるため、大株であっても花茎は約15cmと小さく、葉も短く、草姿全体が密にまとまっている。

ミヤマアズマギクとキバナシオガマ    (2024/7/18 北海道 大雪山 )  

砂礫地に生育するミヤマアズマギクとキバナシオガマ。青紫色と黄色の取り合わせがおもしろい。

花序  

総状花序で多数の花をつけ、花冠の黄金色に上唇の先の茶褐色がよく引き立つている。人の目で見ても図的におもしろいが、ポリネータにも魅力的な蜜標になっているのであろうか。

花の名称        

雄しべは4本、上唇のうちにあり下側の2本は長く、葯の2室は平行に並ぶ。開花したばかりの花は細長い花柱が上唇の先にわずかにのぞくが、その後時間経過とともに雄しべも上唇の先に出る。 萼は筒状で、5裂し先は葉状にひろがる。

地衣類とキバナシオガマ      

風衝地の礫の中に自生する株。厳しい環境で礫の岩上には銀白色の葉状地衣類が着生し、キバナシオガマには短い花茎が2個出ているが、それぞれ花序には3個の花しか咲いていない。

イワウメとキバナシオガマ      

イワウメも強風の吹く風衝地の礫地を好むがこの群生の中にキバナシオガマが根茎を下ろしている。強風のため花茎が伸びず、草丈約10cmと小さく密集して咲いている。上方はエゾオヤマノエンドウの 紅紫色の花で、いつまでも観賞していたい構図である。

茎と葉      

強風の吹く風衝地の大株。茎は根ぎわで分枝して株になり、葉は根ぎわに集まり茎葉は互生する。茎は分枝して5個ほどある大株であるが、茎は短く、葉は小さく、また地面を覆うように展開して風の影響を少なくしている。

エゾハハコヨモギとキバナシオガマ      

強風の吹く砂礫の風衝地のキバナシオガマであるが、周辺には白い葉と花茎を伸ばしたエゾハハコヨモギ、紅紫色の花のエゾオヤマノエンドウ、葉だけのホソバウルップソウのど大雪山固有の 植物が見られる。

キバナシオガマとミヤマキンバイ   (2025/7/2 北海道 大雪山 )

 礫地のキバナシオガマで前方にミヤマキンバイが咲いている。半寄生植物のキバナシオガマであるが、ここでは宿主の植物が見られず、自活しているようである。
雑感:寄生植物はどうも絶対寄生、絶対半寄生、それからシオガマギク属のように自身で光合成し自活できるが近くに寄生対象植物があれば寄生する条件的寄生植物に3つに分けられるようである。 これは植物の生存戦略で同じ場所ではイネ科やカヤツリグサ科のほうが強健で、それらに負い目があるシオガマギク属のささやかな抵抗と見てよいのであろうか。それにしてもこのシオガマギク属の 草姿は洒落た名前のように美しいが、その中でもキバナシオガマは白眉である。