キバナシュスラン(黄花繻子蘭)

 
 
   

都道府県別レッドデータ(2022) キバナシュスラン 

・分布 :西表島・石垣島・沖縄本島・台湾
・生育地:山地の照葉樹林内
・花期 :12~1月
・草丈 :15~25cm

・特徴 : 西表島や石垣島の山中の照葉樹林内に生育する南方系のジュエルオーキッドとよばれる魅力的なラン。根茎は赤褐色の直径3~4mmの筒状で、 地を這い、節から発根する。葉は数個が赤褐色の茎に互生し、葉の表面は暗緑色で、白色の環状紋がベルベットのような質感がある。12月~1月に20cmほどの 長い花茎を伸ばし、上部に2~5個の花をつける。花は萼片が赤褐色、唇弁は白色、先端は2裂してY字状になり、基部から中央にかけて黄色の櫛の歯状の糸状突起があり とてもユニークである。
・名前の由来:和名の命名時に、「キバナ」は黄色い花が咲くと思われていたらしく、「シュス」は葉の表面が織物のサテンのような質感からきている。
属名Anoectochilusはラテン語anoiktos(開く)とcheilos(唇)の合成語。小種名formosanusはFormosa(台湾)にちなんでいる。

葉と花茎 (2012/14/20)西表島

 長い花茎の先端部に穂状花序の下を向いた花を2~8個つける。木漏れ日が当たるようなた場所で、湿気があり、さらに強風から避けられるようなのような所に生育している。また、過湿を嫌うのか地肌の見える緩斜面を 好むように見える。開花中の個体に出会うと花の奇麗さもあるが、特徴ある唇弁に驚かされる。

 

群れ咲く花 (2012/14/20)西表島

花は複数の蕾がほぼ同時期に開花するようで、大きな花が咲きそろう様は、野生の花とは思えないほどである。

花と蕾 (2012/12/27)西表島

 9個の花と蕾を穂状花序につけている。花は下方から咲きあがるようである。蕾が割れて、特徴ある唇弁が開くまでの様子がおもしろい。

花茎を伸ばす前の葉 (2012/12/27)西表島

 葉は1株に2~4個つき、広卵形、長さ3~5cm、幅約3cmで上面に白色の網目模様あり、葉の下面は赤紫色を帯びる。濃緑色のビロード状の葉の上に描く網目模様は美しく、ジュエルオーキッドとよばれる。

開花中の個体と環境 (2012/12/27)西表島

 落ち葉が浅く積もる緩斜面に花茎を伸ばして開花している個体であるが、いずれも花の終わりの時期である。この場所は少し暗いためか株に元気がなく花茎につける花の数も少なめである。

雑感:「日本の野生ラン」(神田淳 著)の中のキバナシュスランの説明で、「名匠の手になる美術工芸品のようである」とか、「日本の野生ランの中ではトップクラス」などの賛美の言葉があふれており、 日本の野生ランの花のほとんどを撮影した人が記すのだから、どれだけ奇麗なのか、大きな期待を抱いて、出会いを願ったものである。そして、最初の出会いは西表島の山中であったが、時期が遅かったためか、咲き終わりの 株しかなかったが、それでもジュエルオーキッドの雰囲気はあり感動した。