・分布 :本州(京都、岡山、広島)
・生育地:山間部を流れる渓流の土砂が積もった湿った川岸や川原に生育する。
・花期 :5~7月
・草丈 :1m
・特徴 : 長い葉柄をもつ長楕円形の根生葉で越冬し、春に太い茎を直立させる。茎葉は卵状広楕円形。初夏に茎上部が分枝し、多数の花穂を付ける。
果期の内花被片は翼状になり、縁に鈎状の突起をもつ。
・名前の由来:中国に自生し、黄色の根茎が生薬として利用される「ダイオウ(大黄)」に似た植物で、京都の貴船川流域で最初に発見されたことから。
標高400~500mほどの低山の谷間を流れる渓流の川岸に自生している。川に沿って林道のような車道も通っているが、人里から隔離されており、草体が大きいためよく目立ち、
丸さが顕著な卵状広楕円形の茎葉からエゾノギシギシやマダイオウなどと区別できる。
茎葉は葉柄が短く、葉身は丸く感じるが根生葉の葉柄は長く葉身も長楕円形である。新鮮な水の入れ替えがある渓流を好むのか、
水の停留する湿地には見られないのが興味深い。
キブネダイオウは茎の上部で分枝して多数の花穂をつける。風媒花で果期になると、内花被片は横に幅が広い翼状になり、縁に鈎状の突起を生じる。
キブネダイオウの最も特徴的な内花被片の鈎状の突起で、中肋にはエゾノギシギシにある顕著な瘤状の膨らみは見られない。
石垣でできた護岸の石組の途中に根茎を置く個体の秋になり果実を付けて、枯死した茎の上部の画像である。
枯死しているより、熟しているというのが正しいかもしれない。痩果は動物に付着するか、風で飛ばされ拡散すると考えられるが、地上に落ちた時や一部は渓流の流れに乗り
流されたときに、この鈎状の突起は固着するのに役立っているのか興味深い。
熟しても鈎状の突起は残っており、中肋の膨らみは見られない。よく似たエゾノギシギシは痩果の中肋がふくらむ。
大株になると複数の茎を出すが、草丈が高くなると倒れやすいようである。葉の中肋はエゾノギシギシのように赤くならない。
渓流の川原に生育する大株で、枯死した複数の茎がみられる。葉柄の長い大小の根生葉で越冬する。
渓流の中から岸辺に群生しているキブネダイオウを撮影したもの。
雑感:ギシギシ属の仲間は風媒花であるためか、開花しても目立たず、果実も注目されない地味な種が多く、草花が好きな人でも関心を持つ人は少ないように思う。
私も初見は同じで、渓流の川岸に群生しているのを見ても、あまり高揚感はなかった。その後、調べていくうちにキブネダイオウの特異性に気付き、中国大陸に母種を持ち、国内の低山地の渓流に自生地を持つように進化
した過程を想像するとすごい感慨を覚える。風媒花であるため、近くに繁殖力の強いエゾノギシギシなどがあれば、交雑するため、純粋なキブネダイオウを存続させるのは大変そうである。