コキクモ(小菊藻)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)コキクモ 

・分布 :本州(群馬、兵庫、岡山)、九州(福岡) 
・生育地:水田、溜池や水路などの水中に生える。
・花期 :8~11月
・草丈:10~60cm(水中)、10~20cm(陸生)

・特徴 :一年生の沈水~抽水直物。地下茎があり節から水中(地上)茎が立つ。葉は茎に4~10個、輪生する。沈水葉は細い糸状の裂片(0.2~1㎜)に裂け、 全体の長さは15~25㎜。気中葉の裂片は長さ0.4~2cmで幅も沈水葉に比べて広い。汽中葉と沈水葉の中間的な葉形もある。花は葉腋に単生し長さ2~10㎜の花柄がある。 沈水葉の葉腋の花は開花しない閉鎖花で、気中葉につく花の花弁は筒状で紅紫色である。結実はよく、果実は卵円形、長さ3~5㎜で萼片に包まれる。  
・名前の由来:キクモ(菊藻)は葉が菊の花に似て、水中で育つモ(藻)であることから。また、コ(小)はキクモより草体が小さいことからコキクモ(小菊藻)と名付けられた。

水中の個体  (2020/10/6 岡山県 岡山市)

水田の隅に深さ10cmほどの小さな水溜りに生育している個体。茎は全て水面下にあり、茎葉は水中葉だけである。水田であるため水溜まりの水も澱み、富栄養化している。

沈水葉(2020/10/6 岡山県 岡山市)

 水田の隅にある水溜りに生育している個体で、茎葉は輪生し、すべて水中葉(沈水葉)である。水中葉は細く裂けており長さ1.5~2.5cmである。


陸生形の個体の群生 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

 10月初旬の水田であり、8月下旬頃に稲の登熟期に入り、落水(水を排水して、水田内を乾燥させる)したために、水田内は干上がっている。このため、コキクモはすべて陸生形になっている。 完全に干上がっても、自生地の水田は水はけが悪く粘土質の泥土のため多分に湿気が残っており、コキクモも沈水形からあまり障害なく陸生型に変化して茎葉に気中葉をつけて群生している。

水田の泥土上の個体 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

コキクモがぬかるんだ泥土上を茎を伸ばして這っている。茎葉は気中葉は元気であるが、水中葉はすでに枯死したか、枯れかけている。日陰になり暗いため花は閉じているが果実は多数確認できるが、茎の下部の朽ちた水中葉の 葉腋についている果実は水中で閉鎖果で結実したものである。また、稲の株元、枯死したミズオオバコやスクリミンゴカイ(ジャンボタニシ)の空殻がみえる。

花と気中葉 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

花は気中葉の葉腋に単生し柄があり、曇天時や日陰になると閉じ、日が当たると開く。

花の拡大画像 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

花冠は淡紅紫色、筒状で先は唇形となる。

花の名称 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

上唇は幅広く先はやや凹み、下唇は深く3裂する。花筒内面の上側に軟毛(長い毛)が生える。

茎と花 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

花をつけた気中葉の葉腋の上部の茎には密に腺毛が見える。萼は筒形で5裂し裂片は狭卵形でさきはとがる。開花時の花柄は短く、結実すると成長して少し長い果柄となり萼に包まれた蒴果をつける。

果実の柄 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

陸生形の地上茎の上部の画像であるが、下部から順に2個の有柄の果実と輪生する葉の葉腋に柄のある1個の閉じた花と1個の柄のある果実が見える。この柄の有無がキクモとコキクモの差異である。

気中葉と沈水葉 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

水田内の干上がった泥土上のコキクモの群生の一部であり、水中葉は枯死しており、上部には同じく干上がって枯死した水生のミズオオバコも見える。コキクモの自然保護を考えるとき、稲作の年間スケジュールに大きく 依存しているのがわかるが、その他にも除草剤の散布、水田の乾燥化や耕作破棄田などの心配もある。

群生 (2020/10/6 岡山県 岡山市)

 水田の中で群生して開花している。絶滅危惧種であるが、米作農家の人にとっては雑草なので、あまり繁茂するのは好ましくない。
雑感:同属のキクモについては、山里の比較的水のきれいな溜池や水田で見かけることも多く、そのたびにコキクモでないか、花や果実の柄の有無を確かめたがいつも無柄のキクモであった。 コキクモの自生地は海に近い干拓地で、水はけが悪そうな粘土質の田んぼの中であり、キクモとの生育環境の違いに驚いた。