・分布 :九州(佐賀県 黒髪山)
・生育地:岩峰の岩壁や草付きに自生する。
・花期 :5月下旬~6月
・草丈:5~20cm(花茎)
・特徴 :地生の多年草で、形態はウチョウランに準ずる。茎はやや直立し細い葉が2~4枚つく。葉は線形で長さ5~12cm、幅3~8㎜、上方はやや湾曲し、基部は鞘となり茎を抱く。花は淡白紅色~紫紅色で総状に15~20花をつける。唇弁に紅紫色の斑点細かい斑点がいる。クロカミランはウチョウランにくらべ、距が細く短く、長さ5~7㎜と子房より短い。また、側萼片は長短があるが、反り返らず水平に開出する。
・名前の由来:クロカミラン(黒髪蘭)はラン(蘭)科植物で、限定的な自生地の中心がクロカミ(黒髪)山であることにちなむ。
黒髪山(標高518m)は有田流紋岩(無斑晶流紋岩)と火山砕屑岩の互層からできている。山頂部に点在する岩峰は風化侵食された安山岩質凝灰角礫岩からなり断崖絶壁をともなっている。
クロカミランはこの岩場の明るい崖地にイワヒバやスゲ類と混生している。
前画像の花序の部分の画像で、総状に紅紫色の花を多数つけている。花色は個体差があるが、この花は紅紫色が強くて唇弁の濃紅紫色の斑紋も鮮やかで魅せられる。
急峻な崖地でイワヒバやスゲ類と混生し、総状に開花している複数の小さな個体。ピンク色の花は周囲を明るくして、ポリネーターにその存在をアピールしているが、
それ以上に人間の反応を楽しんでいるように思える。
急峻な崖地に点在する個体。開花している時期でないとクロカミランの確認は困難であるが、開花すれば野趣に富んだ草姿に惹きつけられる。
岩肌にイブキシモツケ、イワヒバ、スゲ類と混生している。
断崖のイワヒバの中に球根がありそこから斜上に茎をのばし開花している小さな2個の個体。
イワヒバの中から約10cmの2個の葉をつけた花茎をのばし先に4個の花をつけた小さな個体。淡赤紫色の花が1個だけ開花している。この厳しい環境では
イワヒバが成長しない限り、球根も成長できず大きくなるのには時間がかかりそうである。
大きなイワヒバやスゲ類と混生している個体であるが、厚みのあるイワヒバの根元に太った大きな球根があるようで、草丈も約15cmで葉が大きく、多数の紅紫色の花をつけている。
花の近接画像。花径は約1cm。花の頂点は背萼片とそれに密着した2個の側花弁で兜状になり、蕊柱を隠すようにおおっている。
唇弁は3裂し濃紅紫色の斑紋が入る。距が細く、長さ7㎜ほどで花柄子房より短く、側萼片は水平に開出している。
花を後方からみたもので、距、花柄子房や苞の様子がわかる。苞は花柄子房を抱き、花柄子房の表面には紫褐色の条線が入り、
花柄の基部の条線がねじれていることから花は180度回転して開花していることがわかる。
周辺の樹木の影響で、少し日陰に生育している個体。岩間に根茎を下ろした個体。花は多数つけているが淡赤紫色の花で全体に少しひよわな印象をうける。
雑感:ウチョウランの変種であるが、観賞価値が高いため古典園芸植物として以前ブームになったときにほとんど採取されたらしい。当時黒髪山の地元では
採取時に岩壁から落下して負傷したという逸話はたくさんあったらしく、ある意味では人様がつくりあげた魔性の植物ともいえる。