ミコシギク(神輿菊)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)ミコシギク

・分布 :本州、九州、朝鮮半島、中国
・生育地:自然度の高い貧栄養な湿地
・花期 :9~11月
・草丈(花茎):50~150cm 

・名前の由来:長い柄の先に白い頭花がつくさまが神社の神輿行列や大名行列で使われる神輿槍(ミコシヤリ)に似ていることから、ミコシギク(神輿菊)となった。 別名のホソバノセイタカギクは細い葉で茎が高く、長く伸びることに由来する。
・特徴 : 多年草。根茎が湿地の地中を横に伸びて先に新苗ができて増える。葉は互生、線形で全縁、または線形の葉に裂片が生じて3裂や羽裂する。葉質は薄い。頭花は長柄があり白色、径3~6cm。総苞は半球形、 総苞片は3列に並び、ほぼ同長で外片は線形、円筒。雌花は周辺に1列あり、舌状花冠は白色で大きいが果実は不稔である。両性花の筒状花は中心に多数あり、黄色、先に5歯がある。 雄しべの葯の下部は短く鈍形、花柱の枝は切頭で、乳状突起がある。痩果は円柱形で10肋があり、湿っても粘らない。

生育環境     (2025/10/1 岡山県 哲西町)

標高約550mのアカマツ、コナラ、アベマキなどが優占する二次林に周囲を囲まれた溜池上部にある湿地に生育している。この湿地には ケハンノキやリュウキンカも見られ、オグラセンノウなどの希少植物も生育している。ミコシギクは大株になると茎が細いためか、周囲の植物に傾倒し て開花する。ここではヌマガヤに寄りかかって咲いている。

自立して咲いている個体     (2025/10/1 岡山県 哲西町)

湿地の中の小さな水溜りの傍らに生育している個体。周辺が1mを越すヌマガヤなどの高茎植物が繁茂しているため、強風の影響を受けず、 草丈1mほどであるが、傾倒せずに直立して茎先に1個の花をつけている。左上の花はアケボノソウである。

小さな葉     (2025/10/1 岡山県 哲西町)

3個体ともほぼ自立して垂直に細い茎を伸ばし1個の花をつけている。この個体の葉はすべて線形で細く、キク科植物としては珍しい。


叢生       (2025/10/1 岡山県 哲西町)

     

叢生して咲いているミコシギクであるが、茎の高さや花の大きさなど全体にまとまりなく咲いているように見え、このまとまりのなさが特徴のようでおもしろい。 後方の樹木は湿地を好むケハンノキである。


 蕾と葉    

茎の上部で茎先にまだかたい蕾を1個つけている。茎の上部の葉は線形で茎に互生してつく。細い葉はミコシギクと同様な湿地に自生するサワシロギクに似ている。

 羽裂した葉 (2018/10/1 岡山県 哲西町)    

ミコシギクの茎の下部の葉は1~2対に羽裂し、上部の葉は線形であるのが、ふつうであるがこの個体は上部まで1対の羽裂した葉がみられる。

 開花時期 (2018/10/1 岡山県 哲西町)    

開花時期は短期間に同時に開花するのではなく、2カ月ほどの間に次々開花していく。

 傾倒した個体   (2025/10/1 岡山県 哲西町) 

斜めに茎が傾倒して、茎先に花を1個付けている個体。斜めになった茎の下は小さな水溜りで、傍らにはイヌノハナヒゲやミカヅキグサが見られる。 絵画的で白い大きな花がとてもよくひきたっている。

頭花  (2025/10/1 岡山県 哲西町)  

頭花は長柄があり白色、径3~6cmである。

頭花の近接画像     

ノジギク、イワギクなどのキク属の花によく似ている。雌花は周辺に1列、17個あり、舌状花冠は白色でよく発達するが、果実は不稔である。両性花は頭花の中心に多数あり、黄色、筒状で筒の先に5歯がある。

総苞      

頭花の基部にあたる裏側からみた画像で、総苞の様子がよくわかる。総苞は半球形、総苞片は3列で同長、先の黒褐色の膜質がよく目立っている。

大株  (2025/10/1 岡山県 哲西町)  

生育条件の良い個体は1mを越す大株になるが、ふつう倒伏して茎が屈曲して立ち上がり分枝して先に花をつける。
雑感:頭花が帰化植物のフランスギク(Leucanthemum vulgare)によく似ているが、ミコシギクの花期が秋の10~11月、生育場所が自然度の高い湿地であるのに対してフランスギクは初夏の6月頃に路傍や畦地の明るい場所に 咲くことで見間違うことはない。秋の湿原で咲くミコシギクはよく目立ち、清々しいが、大きく伸びた株はいずれも傍らの植物に寄りかかり斜め横倒しになって咲く花がほとんどで、もう少しシャッキと自立して咲けばと思うが、 あえて横倒しのほうが野性味があってよいのかもしれない。