ミセバヤ(見せばや)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)ミセバヤ

・分布 :香川(小豆島)、奈良 
・生育地:岩場や谷間の崖地。
・花期 :10~11月
・草丈:15~40cm

・名前の由来:ミセバヤ(見せばや)は「見せたい」という古語が変形したもの。この花を見つけた高野山の法師がこの花を和歌の師匠(冷泉為久卿)に送り、「君に見せばや」(君にみせたい)と詞を添えたことによる。 また、垂れた枝の先に玉(球)のような花をつけることからタマノオ(玉の緒)ともよばれる。

・特徴 :多年草。根茎があり、花茎は下垂もしくは斜上する。葉は3輪生し、柄はなく倒卵形~扇形、長さ1~1.5cm、幅1.5~2cm、葉は粉白を帯び、先は円筒で基部は広いくさび形、葉縁に数個の低い波状鋸歯がある。 花は両性花で5数性、花茎の先の花序は集散状で花は密につき球形、苞は少ない。花弁は長さ約4㎜、淡紅色で平開する。裂開前の葯は濃赤紫色で目立つ。雌しべは長さ約4㎜、花弁よりも色が濃く基部は細まり柄状になる。花柱は1㎜ほどである。果実は袋果。

全体像    (2024/11/16 香川県 小豆島)

集塊岩の崖地にイワヒバなどと共に生育している。半日ほど日が当たり、尾根筋より少し下った保湿もある岩場でのびのびと生育しているように感じた。

生育環境   (2024/11/16 香川県 小豆島)

標高約500mほどの安山岩層や火山角礫岩層(集塊岩)で構成される岩塊の切り立った崖地の岩肌に着生するようにイワヒバなどと共に生育している。 急峻で人が簡単には近づけない場所であり、自生について人為的な可能性は少ないように思える。岩肌に咲く紅紫色の丸い花は葉と調和して野性味たっぷりで、名前通りに人に見せたくなる。


厳しい環境の個体 (2024/11/16 香川県 小豆島)   

岩塊の尾根筋の岩場の上部に生育する個体。日当たりの良い場所で、風通しもよい場所で岩肌に着生しているイワヒバ根元に根茎を下ろしている。 乾燥のためイワヒバは葉を巻きいている。

全体像    

前画像の近接画像。イワヒバの根元に根茎を下ろした個体であるが、枯死した古い茎のが4本残っており、最低5年ほどは経過しているようである。乾燥のため花を優先して水分を供給するためか、 適正な環境では帯粉し緑白~青白色の葉がもう紅葉して赤みを帯びている。花茎の長さは15cmほどで短く、周辺には数本の株しか見られない。

花      

前画像のほぼ満開に近い花の近接画像。花の色は古典園芸植物として家庭で栽培されている紅紫色の花である。

谷間の個体 (2024/11/16 香川県 小豆島) 

谷間の崖地の岩上に開花している個体。谷間の個体は花茎の長さが40cmほどもあり大きく、花の色が淡紅色である特徴がある。ミセバヤは強健種の多肉植物で、明るくて風の良く通る乾燥した尾根筋の岩場からやや陽当たりの悪い半日蔭の谷あいの崖地まで生育環境は広い。  

淡紅色の花   

前画像の淡紅色の花の近接画像で、半日蔭の谷間にあるためか、日当たりの良い尾根部にある紅紫色の花にくらべて華奢な感じがする。

谷間の崖地の集団 (2024/11/16 香川県 小豆島)  

谷間の崖地の集団で、全体に白色~淡紅色の花をつけている。付近はツルマサキやイタビカズラも斜面を這っており、安定的な環境ではない。

谷間の個体の全体像   

多数の茎が伸びて葉をつけているが、花をつけているのは一個だけでこの場所では花付きがよくない。傍らにイタビカズラが見える。

葉と花   

葉は3輪生し柄はなく、縁に数個の波状鋸歯がある。ふつう葉は帯粉し、緑白色といわれているが、谷間の個体の葉は緑色で、帯粉も顕著ではない。花は淡紅色であるが この谷間では紅が濃いほうである。

花の名称   

ベンケイソウ科は被子植物の進化から考えると進化が遅れている離生心皮に分類され、5個の心皮がある。花は5数性で花弁5個、雄しべ10個、雌しべ5個で、葯の色は裂開前は紅褐色であるが、花粉を 出した裂開後は黒色となる。花柱は長さ約1㎜と小さい。花弁は紅色、倒披針形で長さ4㎜ほどである。

結実した株の全体像 (2008/11/15 香川県 小豆島)  

結実した花は艶がなくなり、紅褐色に変化している。傍らにイワギリソウが生育しており、谷間の崖地であることがわかる。

谷間の断崖の集団  (2008/11/15 香川県 小豆島) 

紅褐色の結実した花の谷間の崖地に生育する集団であるが、明るい乾き気味の谷間であるためか、20cmほどと短い。
雑感:厚い葉をもつ多肉植物で大きな赤い球形の花は観賞価値が高く、さらに育てやすいためか見かける機会が多く子供のころから記憶にり、植物に興味を持った頃から その自生地を訪ねたいと思っていた植物のひとつである。自生地を訪ねて思ったのは、花色は淡白紅色~濃紅紫色、草体では10cm~40cmで生育環境によって大きく異なることで、日当たりのよい乾燥した岩場の 個体は草体が小さく花色は濃く、これは家庭で育てられている濃紅紫色の個体と共通している。