ムラサキ(紫)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)ムラサキ 

・分布 :北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国東北部、アムール 
・生育地:比較的冷涼な日当たりの良い山地の乾いた草原。
・花期 :6~7月
・草丈 :40~70cm

・特徴 :多年草で、根は太く直下し、分枝する。根にはシコニンという紫色の色素を含み古くから染料や生薬として使われてきた。葉は互生する無縁の単葉で無柄、長さ3~7cmの長披針形で、表面は平行な脈に沿って凹む。茎が上部で枝分かれして、葉状の苞の腋に直径約5㎜の白色の花をつける。花冠は5裂して平開し喉部にやや黄色味を帯びた隆起がある。万葉の時代から広く各地に分布して有用植物として 利用されたが、現在各地で激減し、絶滅危惧種の象徴的な植物になっている。  
・名前の由来:根の色が紫色であることから、また、群れて咲くことから「群れ咲き」との説もある。

開花したばかりの個体  (2023/05/12 山口県秋吉台)

茎頂に多数の蕾と数個の咲き始めたばかりの白い小さな花を付けた個体。これから、成長するにつれて上部の葉腋から枝を伸ばしその先に複数個の花を付ける。

 

生育環境 (2023/05/12 山口県秋吉台)

カルスト台地に点在する石灰岩と石灰岩の隙間に自生している個体。ここでは、冬の終わりの2月頃に山焼きが行われているが、このムラサキもこの恩恵にあずかっている。

茎頂部の花の拡大画像 (2023/05/12 山口県秋吉台)

 枝上の葉状をした苞葉の腋に白色の小さい花をつける。花冠は径約4㎜ほどで、花筒の先端は5裂して平開する。花冠の喉部には少し黄色味を帯びた隆起があり、毛が生えている。

花(2023/05/12 山口県秋吉台)

 同じ科のホタルカズラの青紫色の花と形状はよく似ている。この画像の花のような薄く緑色を帯びた白色に見えるときは清楚な感じがする。 蕾を包むように萼が見られるが、萼は5深裂し、裂片は広線形で長さ5㎜くらいである。

蕾 (2023/05/12 山口県秋吉台)

茎頂に多数の蕾をつけ、株全体に生命力を感じる。

茎と葉 (2023/05/12 山口県秋吉台)

茎は直立し粗毛が多く、上部で枝分かれして葉とともに斜上する。葉は互生し、披針形で先端と基部は次第に細まってとがり、ほとんど柄がなく全縁である。

2個の株 (2023/05/12 山口県秋吉台)

このカルスト台地では、群生しているようすはなく、1株か数株がまとまって点在しているようである。また、ドリーネの中は高茎植物が繁茂するためか、自生していないように見える。

生育環境 (2023/05/12 山口県秋吉台)

 カルスト台地の石灰岩の傍らに自生している花を咲かせ始めた個体。
雑感:ムラサキという名前から何故か源氏物語の紫式部を思い出す。万葉集にも歌われている古来から日本人にとってかけがえのない植物である。また、 12冠位の最上位大徳の衣装の色が紫色で高貴なイメージが強い。初見は岡山県新見市の石灰岩地帯の台地上で、花を付けた3株に偶然に出くわしたもので なぜこんなところにあるのか不思議な気がしたの覚えている。ここに掲載しているような、緑色の厚手の葉をまとい茎頂に小さな白い花をまばらに咲かせ始めたばかりの株のほうが、 孤高な感じがして好ましい。