サツマチドリ(薩摩千鳥)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)サツマチドリ 

・分布 :九州(鹿児島県下甑島) 
・生育地:海岸の岩場や礫地の草むらに自生する。
・花期 :6~7月
・草丈:10~20cm(花茎)

・特徴 :地生の多年草で、形態はウチョウランに準ずる。茎はやや直立し細い葉が2~4枚つく。葉は線形で長さ5~12cm、幅3~8㎜、上方はやや湾曲し、基部は鞘となり茎を抱く。花は淡白紅色で総状に15~30花をつける。 ウチョウランにくらべ、全体に大きく距が細く短く、側萼片が反り返らず、唇弁に細かい斑点がいる。
・名前の由来:和名のサツマ(薩摩)は自生地の下甑島が鹿児島県の旧国名が薩摩(サツマ)であることにちなみ、チドリ(千鳥)は花の形が空を飛ぶ千鳥の姿に似ていることによる。  

生育環境    (2024/6/16 鹿児島県 下甑島 )

生育地は海岸の乾燥した岩場の崖地であるが、そんな環境でも少しでも湿気が残る岩間にスゲ類などと生育してた。画像は雨水の通路にあたる岩間に生育している個体で 後ろのツル植物はイタビカズラの仲間である。

花序   

前画像と同じ個体の花序の部分の画像で、総状に淡いピンク色の花を多数つけている。株により個体差があるのか、上部の株の花はピンク色が濃く下の株はとても淡いピンク色である。


小さい株  (2024/6/16 鹿児島県 下甑島 )

前画像と同じ岩間であるが、少し日当たりがよくないのか、草体が小さく花数も少ない。

花序

前画像の花序の画像。ウチョウランとくらべて唇弁に細かい斑点がいる。

横から見た個体

岩場でスゲ類の下側に自生している個体で、すぐ下は垂直の断崖である。総状に花をつけているが、花序の先端部に集中している。

正面から見た花

前画像の一部を正面から見た画像。ウチョウランの側萼片は反り返り羽ばたくように見えるが、サツマチドリではやや内側に閉じ気味で、慎ましやかな印象を受ける。

上から見た画像   

上方からのぞきこんだ画像で、わずかな岩の表面の苔土に根茎をおろし花をつけている。中央の黒い岩の亀裂は雨水の通路のようで、乾燥気味の岩棚にくらべて湿り気が感じられた。

花   

前画像の上部の花の拡大画像で、左側には淡いピンク色の2個の花しかつけていない株がある。

ウチョウランとの比較(ウチョウラン)(2024/6/11 広島県 北広島町 ) 

ウチョウランの横からみた花序の拡大画像。距は太く花柄子房より長く、唇弁の基部以外は濃いピンク色で、側萼片は平開、もしくは反り返っている。

ウチョウランとの比較(サツマチドリ)(2024/6/16 鹿児島県 下甑島 )  

サツマチドリの花を斜め前から見た画像。距は細めで花柄子房より短く、唇弁は先端部が淡いピンク色に染まるがピンク色の斑紋が顕著で、側萼片はやや内側に閉じている。

岩棚の個体   

ハギの仲間やスゲ類とともに岩棚で花をつけている個体。日当たりがよく乾燥気味の場所なのか、葉が黄ばんでいる。

岩間の個体   (2024/6/16 鹿児島県 下甑島 )

 岩間に根茎を下ろした個体。日当たりがよく、乾燥した生育環境が厳しい場所なので花数が少なく貧弱な個体が多いが、逆境に逆らうたくましさを感じる。
雑感:ウチョウランの変種であるが、花もよく似ていて小形のランで赤く小さな花を多数つけるが観賞価値が高いためほとんど採取されたらしい。最初に発見された当時の状況は田んぼの畔みたいな所にまで自生していたらしいが、今は急峻な海岸崖地にだけわずかに見られるようである。それだけに乾燥気味の急峻な崖地に花をつけた姿は健気さを感じる。タキユリはこの島を代表するする花として保護されて、いたる所に見られるが、このサツマチドリも同様に保護されていたらと残念に思う。