・分布 :本州(静岡、岐阜)、(中国の固有種 Rehmannia chingii H. L. Li に近縁)
・生育地:山野に生える。山里の日当たりの良い石垣や平地。
・花期 :4月~5月上旬
・草丈:20~50cm
・名前の由来:センリゴマ(千里胡麻)の意味は不明。別名のハナジオウ(花地黄)は生薬で有名なジオウ(地黄)に似て花が美しいことによる。
・特徴 : 多年草。根茎は地中をはい肥大する。地上部全体に腺毛が多い。根出葉はロゼット状で卵状楕円形、長さ20~30cm、幅3~4.5cm、葉柄に翼がつき葉身は肉厚で重鋸歯がある。
茎葉には柄があり、葉身は多形、ヘリは鋭鋸歯、茎の上部では葉は小さくなる。花は葉腋に単生し花柄は長さ3~4cm、萼は長さ約2cm、裂片は長さ1cm、花柄と共に密に腺毛が生える。
花冠は2唇形、長さ5~6cm、筒部は黄色で紫の斑があり、筒の上部から唇の裂片にかけて鮮紅紫色である。唇の上裂片は2裂、下裂片は3裂する。雄しべ4本で、2本は長い。
雌しべの柱頭は大きく、前にでる。蒴果。
生育地は標高500mほどの山奥の植林された谷間にある集落の石垣である。下に谷川が流れる南向き斜面にある歴史ある古い集落の石垣の石の隙間に根茎を下ろし
開花している。集落には多数の石垣があったが、センリゴマが生育しているのは1か所だけである。
開花した石垣の3株の個体。開花した個体は個体はこの3株しか見られなかつた。集落の住人の話では以前はこの石垣の直下の畑にも多数の個体が見られたとのことであったが、
盗掘か畑の雑草を除去のための除草剤散布の影響のためかまったく見られなかった。確かに、以前にこの畑で多数の個体が花を咲かせた画像が掲載された書籍が残っている。
前画像の中央と左側の個体の近接画像。石垣に生える個体は以前畑に生育していた個体と比較すると栄養分が少ないためか、草丈が20cmほどと少し小形のようである。
小形の草体に紅紫色の大きな花冠をつけた姿は華麗でよく目立ち、採取されるのもうなづける。石垣にはカラムシ、チャノキやヘクソカズラが見られる。
5個の開花した花をつけた個体。葉腋から花柄をだして、大きな筒状花を1個つけている。赤褐色の茎もよく目立つ。
この個体は根出葉や茎葉も小さく、異常に花だけが大きく見える。根出葉には翼があり、下部の茎葉には葉柄がある。
前画像を斜め横から見た画像。筒状花は大きく6cmほどある。
南向きの日当たりがよく、通風のある石垣の上方に自生する個体。多年草であり、石垣内部には肥大した根茎を這わせているいるようで乾燥にも強いようである。
石垣にはチャノキ、カラムシやヘクソカズラなど石垣を好む植物も見られ、これらが繁茂しないように、これまで通り除草剤を使わず伸びた茎を定期的に切除する必要がある。
茎上部の近接画像。全体に腺毛が多く、花冠は2唇形で、上唇の内側の基部は濃紅紫色で、筒部の奥は濃紅紫色の斑点がある。
花冠の上唇は2裂片、下唇は3裂片に分かれている。花柱の上部は3個ある外花被片の基部に沿って3分枝に分かれ、4個ある雄しべは花筒の奥にあり見えず、雌しべの柱頭が筒部の奥に見える。
今年は花茎をのばさない根出葉だけの個体。根出葉は腺毛が多く、ロゼット状で卵状楕円形、葉柄に翼がつき、葉身は肉厚で重鋸歯がある。
中国大陸から渡来したのは確からしく、さらに本家の自生地では絶え、以後この狭い範囲で長年にわたり生きながらえてきたことはすばらしい。
雑感:センリゴマ(千里胡麻)の和名の由来は不明だそうであるが、私見では千里(センリ)が遠方の中国を表し、胡麻(ゴマ)はゴマの花ににた花をつけることからきているのでは、と思っていた。
中国大陸の中部、北部には薬草で有名なジオウが雑草のようにはえてるところがあるそうで、その画像を見ると確かに花はセンリゴマによく似ている。浜松の自生地の石垣がある家は付近の山林を所有する旧家で
徳川家康も立ち寄ったいわれるほどの歴史をもっており、大陸からの伝来も古い時代であると考えられる。以前は石垣の下の畑にも多数が生育していたそうであるが、今年の開花株は石垣の3株のみであった。集落も高齢化しており、今後の適切な保存活動が望まれる。