・分布 :本州(東京都伊豆諸島、静岡)、四国(徳島)、九州(宮崎、鹿児島)
・生育地:照葉樹林内の落ち葉の下。
・花期 :6~7月
・草丈 :1~5cm
・特徴 :菌従属栄養植物の多年草。根茎は糸状で地中を長く這い分枝して、節に長さ1~4cmの花茎をつける。地上に出た花茎には数個の半透明の鱗片葉をつける。
花は花茎の先端に1個つき、壺形で花筒の長さは1cm、白色である。3個の内花被片が花筒を覆うようにドーム状に三脚アーチを構成し、内花被片の先端は長さ1~2mmの線状突起になる。
外花被片は3個あり狭倒卵状楕円形で長さ3㎜、先端は急に狭まり線状突起となり開出している。
・名前の由来:花の形状が古い時代にローソクを灯した燭台に似ていることから。
高さ約5cmの小くて特異な形状をした花である。外花被片と内花被片の線状突起がよく目立ち、花筒の入り口の緑色を帯びた円環もよくわかる。
内花被片と外花被片のそれぞれ3本の線状突起がよくわかる。拡大画像でみると2個寄り添って並んだ姿は、パレイドリア現象で何か踊っているようにも見えてユーモラスである。
タヌキノショクダイは阿南市の大龍寺山という石灰岩地で初めて発見されたが、開発により絶滅した歴史を持っている。
次に見つかった場所が同県の木沢村で石灰岩地のスギ植林地内であり、必ずしも照葉樹林内とは限らない。また、自生地の共通項として陸貝の存在が挙げられている。
落ち葉が朽ちた腐葉土の中を根茎が長く這い分枝し、その節から花茎を出したもので、3個体共に同じ根茎と考えられる。また、全体像を確認するために
花を隠すような周辺の落ち葉や小さな枯れ枝などは取り除いているが、もともとは落ち葉に埋もれたような状態で生育している。
地中から出た茎は橙色の部分まででそれ以上にある花筒を中心とした部分が花である。緑色の円環がある花筒の入り口を覆うように3個の内花被片がドーム状に三脚アーチを構成するのが大きな特徴である。
内花被片と外花被片はどちらも3個あり、それぞれに糸状付属体(線状突起)がある。
茎に葉緑体のない半透明の白色の葉がわかる。
スギ植林地の緩い斜面の腐葉土の地面から小さな花を咲かしている。スギの枯葉から大きさがわかるが、注意しないと踏みつぶしそうである。
雑感:和名での珍名の1つであるタヌキノショクダイとはどんな形態の花なのか、勝手に珍奇な姿を空想して出会いを期待した花である。見ての感想は
燭台というより小さな森の妖精のようであった。装飾なのか不思議な花被片の線状突起や色彩的には茎の橙色、花筒全体の半透明の白色、花筒入り口の緑色の円環などが印象に残っている。
ここは保護地であり、案内してくれた保護活動関係者には感謝しかありませんが、経年変化で環境が変化していく中で、この根茎はここであとどれくらい花を咲かせ続けられるのか考えてしまった。