トクシマコバイモ(徳島小貝母)

 
 
   

都道府県別レッドデータ(2021) トクシマコバイモ 

・分布 :四国(徳島)
・生育地:山地の広葉落葉樹林内や林縁
・花期 :3~4月
・草丈 :10~15cm

・特徴 : 地下の鱗茎は小型で白色の球形になり、2個の半球形の鱗片からなる。葉は5個あり、葉身は披針形から広線形で、長さ3~6㎝。下部では対生し、上部では3輪生する。茎は細く軟らかく、高さは10~15cmになる。(ここまで日本産バイモ属に共通する。)トクシマコバイモは2005年に新種として紹介され、同じ四国内に自生するアワコバイモとトサコバイモの両者の中間的な形態をもっており、両者の交雑という説もある。花はアワコバイモの花被片の外面突起が著しい広鐘形とトサコバイモの花被片の外面突起が無いような筒状鐘形との中間的な形態で花被片には少し外面突起が確認でき、花径も両者の中間である。
・名前の由来:「母貝」は地下の鱗茎が2つに分かれており、この鱗片の間から茎が出て成長することから鱗片を2枚貝に見立てて、母貝(バイモ)とよばれる。 トクシマ(徳島)は発見された地名に形状に由来し、バイモより草体が小さいこととからコバイモと呼ばれる。

典型的なトクシマコバイモの花 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

  花被片の外面突起が著しい広鐘形アワコバイモと外面突起が無いような筒状鐘形のトサコバイモとの中間型の外面突起がわずかで、花径も両者の中間であるトクシマコバイモの特徴がわかる個体である。   

 

これから開花しようとする個体 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 葉は5個で、下部は対生、上部は3輪生。2つの個体とも花被片の外面突起がわずかに見られるが、花径は大きくない。

広鐘形の個体 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 広鐘形の個体で、花被の条線や網目模様もアワコバイモによく似ている。

赤褐色系の花の内部 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 柱頭は3裂して、葯はトサコバイモと同じ紫褐色。花被片の内側には赤褐色の斑点がある。

緑色を含んだ赤褐色の花の内部 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 柱頭は3裂して、葯は紫褐色であるが、花被片の内側には赤褐色の斑点はなく、緑色の条線が見られる。トサコバイモに近い個体であろうか。

ハエのとまった個体 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 ハエの大きさから花が小さいのが分かるが、ハエの種類は不明であるが、花粉媒介には関係なさそうである。花被片の外側は赤紫色の薄い網目模様で、少し縁が緑色がかっている。

落ち葉の枯葉色と保護色の個体 (2020/4/7 徳島県佐那河内村)

 この個体も広鐘系のアワコバイモに近く、画像として見栄えがいいのでついこちらをえらんでしまう。

雑感:トクシマコバイモは佐那河内村の個体しか見ていないが、やはり外見はアワコバイモともトサコバイモとも違うと初見で感じた。局地的ではあるが、個体数は多く、広鐘形から筒状鐘形までの個体差が大きく、草丈も他のコバイモより小柄な感じがする。ここでは赤紫色系の葉の個体の画像ばかりであるが、緑色系も見られる。自生地は、自然度が高い落葉広葉樹林帯であり、眼を凝らして落ち葉に擬態したような小さな釣り鐘状の花を探すのは、宝探しみたいで楽しい。