ウンゼンマンネングサ(雲仙万年草)

   
 
   

都道府県別レッドデータ(2020)ウンゼンマンネングサ

・分布 :本州西部、九州北部(長崎、佐賀、福岡、大分)、朝鮮半島、中国 
・生育地:山地の日当たりの良い岩上や渓流沿いの明るい崖地。
・花期 :6~7月
・草丈:5~8cm

・名前の由来:ウンゼンマンネングサ(雲仙万年草)はウンゼン(雲仙)は長崎県の雲仙で最初に採取されたことから、マンネングサ(万年草)は冬でも枯れずに、 万年、青々している(常緑で長寿である)ことに由来する。

・特徴 :多年草。茎は直立し、ふつう赤褐色をおび、基部には枯れた葉が落葉せず残る。葉は互生し、密につき、赤褐色をおび扁平な線形、長さ6~13㎜、幅0.8~1.7㎜、基部には柄がなく、 長さ1㎜の短い距がある。集散花序で花は5数性、ほぼ柄はない。萼片は基部で合着し萼筒は長さ約1㎜。萼裂片は狭披針形、鋭頭、長さ1~3㎜で開花すると斜上する。 花弁は離生し黄色で狭披針形、鋭頭、長さ3~7㎜で開花すると平開する。雄しべは花弁より少し短く、葯は橙黄色。雌しべは長さ3~6.5㎜。

全体像    (2024/6/19 大分県 中津市)

典型的なウンゼンマンネングサで日のよく当たる岩の隙間に根をおろし茎の上部は赤褐色で先に黄色の花を開花させ、赤褐色の葉を展開している。

生育環境   (2024/6/19 大分県 中津市)

低山(標高約600m)の中腹にある落差約20mほどの滝の落ち口の開けたよく日の当たる明るい岩場に生育している。谷間であり、 渓流沿いは広葉樹林の二次林であるが、さらにその上部はスギやヒノキの植林地である。一見、明るい風通しの良い乾燥した岩場の ように思えるが、増水時は水に浸かり、雨の後は林縁から滲みだす水で結構、湿る機会が多い場所のようである。


群生   (2024/6/19 大分県 中津市) 

明るくよく風の通る岩場に密生している。灰褐色の岩肌を背景に黄色の花、一部に緑色が混じった赤褐色の葉の構図は見飽きない。

やや日陰の個体    

直射日光を受ける明るい場所の個体も葉や茎は赤褐色であるが、やや日陰の湿り気味の岩場の個体は葉が黄緑色である。十分に湿気があるためか傍らのイワヒバの葉も開いている。

日陰の個体     

灌木の下の岩場で前画像よりも日陰に生育する個体。葉の色が緑色になり、葉全体が細くなり花も小さくなった感じがする。

蕾  

やや日陰の岩場の個体で開花前の蕾の状態である。緑の葉と赤褐色の茎の先端にある多数の小さな黄色のローソクの炎の形状の蕾の集団は清楚である。 また、花の付き方は散房状の集散花序に近いのがわかる。

日当たりのよい岩場の個体 (2024/6/19 大分県 中津市) 

日当たりの良い岩場に生育している個体の近接画像。株元からの新芽も見られるが、長く伸びた茎先に花をつけていることから数年は経ているようである。 長く伸びた茎の上部には枯死した葉が落ちずに付着している。

日当たりのよい岩場の個体の茎の上部   

茎の上部の近接画像で、茎、葉、花の様子がよくわかる。葉は茎の下部の赤褐色から上部の花に近づくにつれ黄緑色に変化している。

葉の距   

前画像の近接画像で葉の基部に1㎜ほどの距があるのを示している。

花   

5数性の花であり、雄しべ10個、雌しべ、花弁、萼片ともに5個である。

花の名称   

前画像の花の名称を示す。葯の色が咲き始めは黄色であるが時間経過とともに茶褐色に変化している。

茎の長い古株   

明るい岩場にある赤褐色の葉の茎の長い古株。厳しい環境なのか花の数が少ない。

やや日陰の大株  (2024/6/19 大分県 中津市) 

やや日陰の湿り気のある岩場の元気な大株で葉は赤緑色で花も多数つけており、このような環境が適正地かもしれない。しかし、このような環境は他の植物との 競争が激しそうである。

岩場に積もった土砂の上に生育している個体  (2024/6/19 大分県 中津市) 

林縁から谷間に落下した土砂の上に生育する個体。林縁から滲みだす水に下方の岩肌が濡れている。上部にはノイバラもあり、このような恵まれた環境は 草丈の低い植物は一時的にしか生存できないようにみえる。

苔むした岩場の個体   (2024/6/19 大分県 中津市)

雨が降れば岩上の林から水が滲みだすような明るい苔むした岩場の個体。小さなイワヒバも見える。
雑感:ベンケイソウ科のマンネングサ属とキリンソウ属の仲間はよく似ていて画像だけ見せられてもなかなか判別できない同定の難しい印象がある。 ウンゼンマンネングサは故郷の低山の岩場にあったが、開花した個体を見たのはずいぶん経ってからであった。低山の中腹にある開けた滝の落ち口の岩上に咲く黄色い花は人目を引くが 妙に周辺の岩場とマッチしていた。