・分布 :沖縄県(与那国島)
・生育地:亜熱帯の低地の多湿な石灰岩質の岩場に生育する。
・花期 :春季、あるいは9~10月記載がある。現地観察では12月に開花確認
・草丈:15~18cm
・名前の由来:ヨナクニ(与那国)は自生している場所が与那国島であることからきており、トキホコリ(時繁)は「時々、所により繁茂する」ことに由来している。
・特徴 :多年草で茎の基部は匍匐し、上部は直立して8~10個の葉を互生する。葉は無毛で長さ2~4cm、内側辺で2~3個、外側辺で4個ほどの浅い鋸歯がある。花はふつうは雌雄同株であるが稀に異株。雄花は集散花序で葉の付け根に腋生し、長さ1~3cmの柄の先に4~8個の花をつける。雌花は頭状花序で2~3㎜の花が集合する。
与那国島は亜熱帯気候の島で東西12㎞、南北4㎞、周囲約28㎢、最も高い山でも231mほどの小さな島である。地質的には断層の島といわれるくらい断層が多く亜熱帯から熱帯にかけて多い隆起サンゴ礁による島ではなく、
砂岩や堆積岩、石灰岩などでできている島である。このような地質であるがヨナクニトキホコリの自生地は琉球石灰岩地帯の湿度の高い崖地で日中はわずかに日が差し込むような場所であり、侵食され凹凸のある亀裂の入った
石灰岩の間隙に根を下ろしていた。
石灰岩の隙間に根を下ろし茎を匍匐して伸ばし葉を展開している。
この自生地で最も生育密度が高い場所の画像で小さい個体を含めて多数の個体が生育している。右側上方にはクワズイモの子株が見られる。
全体無毛で葉は2~4cm、内側辺で2~3個、外側辺で4個ほどの浅い鋸歯がある。ここの個体は草丈が最大10cmほどで全体が小さく、葉の数も最大6個ほどである。
前画像の右上の株の近接画像であるが、茎の上部の葉腋に柄のある雄花序と下部には柄のない雌花序があり、雌雄同株であることがわかる。
雄花序と雌花序を示す。
雄花序は集散花序で葉のつけねに腋生し長さ1~3cmの柄の先に4~8個の雄花をつける。総苞はない。
花の近接画像。この画像では白色透明な2個の雄花が開花しており、2個のうち右側の花は5個の花被片と雄しべが5個ある。
本種はふつうは雌雄同株であるが、まれに雌雄異株となるがこの画像は雌花序だけの雌株である。
前画像の雌花序の近接画像。雌の花序は頭状花序で直径3㎜ほどで小さい。
茎の上部の葉腋に3個の柄のある雄花序がみられるが、下部の葉腋に雌花序が見られないので雄株のようである。
雑感:日本最西端の島で尖閣諸島にも近いことから自衛隊の駐屯も含めて話題の多い島である。世間一般には生物では与那国というと世界最大の蛾といわれるヨナクニサンが有名であるが、
不思議と同じヨナクニのつくヨナクニトキホコリのほうが植物に興味を持ったころから気になっていた。美的観点からは何の変哲もないただマニアックなだけの植物であるが、自生環境を知ると生育範囲の狭さと個体数の少なさから妙に種の健気さを感じた。